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ワンランク上の麦とろごはんを食べるコツ


高温多湿な日本。これからの本格的な夏を前に、梅雨時から体の重だるさや食欲不振を感じる人も少なくありません。そんな時には、手軽で口あたりがよく、栄養価も高い、まさに三拍子そろった“麦とろごはん”はいかがでしょうか。今回は、何気なく作っている“いつもの麦とろごはん”をもっとおいしくできるコツをご紹介します。

「押麦ごはん」は米:押麦=3:1の割合がおすすめ

麦とろごはんといえば、大麦ごはんに“とろろ(山芋)”です。大麦には、食物繊維に加え発汗で失われやすいビタミンB類やミネラルなどが豊富に含まれています。もう一方の山芋は、芋類の中でも生で食べられるとても珍しい食材ですが、山芋にでんぷんの消化酵素があるためです。また、山芋のぬめり成分には胃腸の粘膜を保護するはたらきがあります。

麦ごはんの大麦には、サラリとした食感の「押麦」がおすすめです。押麦ごはんの炊き方は、とても簡単。白米に自分の好きな配合の押麦と水を加えて炊くだけです。米と押麦のおすすめの割合は3:1。食物繊維をはじめ大麦が持つ多くの栄養価が期待でき、麦の食感を感じながらも、大麦特有のクセが出すぎず、冷めても食べやすい配合です。

それでは、この割合で麦ごはんを炊く場合の配合を確認しましょう。
白米を2合にした場合、水加減はいつも通りにし、そこに押麦100gと水200mlを加えます。大麦を米の計量カップで計る場合は、押麦100gは約4/5カップが目安です。炊飯時のポイントは2つ。まず、大麦は白米よりも多めに水を吸収するため、その分の水を加えること。そして、炊飯前に軽く全体をかき混ぜ、30分くらい浸水させることです。

押麦・米粒麦などを使った炊き方
おすすめ配合量

とろろは、味わいの異なる山芋をお好みで

麦ごはんの上にかけるとろろは、高い栄養価と消化吸収力から「山のウナギ」とも呼ばれています。実は、私たちがよく口にする「山芋」という固有の名前を持つ芋はありません。長芋や大和芋、いちょう芋、つくね芋などを総称して「山芋」といい、これとは別に、「自然薯」や「大薯」などもあります。山芋の中で比較的手に入りやすく麦とろごはんに向いているのは、もったりしていて粘り気の強い“大和芋”です。水分が多めでみずみずしく、あっさりとした味がお好みの方は“長芋”を選びましょう。

長芋と大和芋

自然薯

どちらも選ぶときは、皮にハリがあって表面に傷や色ムラがないものを。また、持ったときに、ずっしりと重量感のあるものがおすすめです。カット売りの場合は、切り口が変色していない、白くて新鮮なものにしましょう。

すったら早めにいただいて。事前に酢水に浸けるのも効果的

麦とろごはんは、とろろののど越しのよさも大事なポイント。なめらかにすりおろすには、すり鉢がベストです。円を描くようにしてすりおろしましょう。すり鉢がない場合は、できるだけ目の細かいすりおろし器やおろし金を使います。大和芋は皮が硬いので、むいてからすりおろしましょう。一方、長芋は皮をむかずにすりおろしても、おいしくいただけます。まず、皮の表面に付いているおがくずを払い、タワシなどで汚れを洗ってよく落としましょう。そして、ひげ根を取り除くのも忘れずに。包丁のあご(刃もとの一番下の角の部分)でえぐるか、ガスコンロなどの直火にかざして回しながら炙ると、簡単に取れます。
皮をむく場合は、先端のおろす部分だけむき、残りの部分の皮を持っておろすと、手がすべりにくくて便利です。

すりおろして時間が経つと、酸化して赤茶色になってしまうので、食べる分のみすりおろして早めにいただきましょう。多めにすった場合は、冷凍保存がおすすめです。使い切れる量をフリーザーバッグなどに入れ、薄く平らに伸ばして空気を抜いて封をします。冷凍庫で約1カ月保存できます。
変色を防ぐには、皮をむいたらすりおろす前にしばらく酢水に浸ける方法も。ボウルに山芋がかぶるくらいの水を入れて酢を1、2滴加え、皮をむいた山芋を10分間程度浸けておきます。アク抜きもでき、すっきりとした味わいになります。また、すりおろす時にかゆみを感じる場合は、あらかじめ酢水に手を浸しておくと、かゆみ防止になります。

味付けやトッピングで、オリジナルの麦とろごはんを

仕上げの味付けは、山芋の自然な甘みを生かして控えめに。醤油の代わりに、白だしや味噌、めんつゆなどをお好みで少し加えて。大和芋の場合は水分量が少ないので、だし汁でのばすと食べやすくなります。トッピングは定番の生卵や刻みのりのほか、ネバネバ仲間のオクラやなめこを加えたり、ぷちぷち食感が楽しめる明太子を入れたりしても。さらに、まぐろアボカドやウナギの蒲焼き、焼肉などを上に載せれば、ちょっとしたご馳走にもなります。

今年は、とっておきの“麦とろごはん”を作ってみませんか。蒸し暑い夏も、きっと元気に乗り切れることでしょう。