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便秘になると起こりやすい肌荒れ。改善するための食事とは?


季節の変わり目は、気温の変化やストレスなどから便秘が起こりやすくなります。若年層では便秘は女性に多い傾向があり、一般的に便秘は肌荒れを引き起こす大きな要因だと考えられています。今回は、便秘が肌荒れを引き起こすメカニズムや肌荒れ対策に効果的な食事について解説します。

便秘になると肌荒れが起こりやすくなるのは、なぜ?

便秘症状が続くと肌トラブルが起こりやすくなることは、多くの人が経験的に知っています。腸内環境と肌の状態は密接に関係していると考えられていますが、実はそれを裏付ける科学的なエビデンスはそれほど多くありません。

便秘が肌荒れを引き起こす主な要因として考えられるのが、腸内細菌叢(腸内フローラ)の乱れです。慢性的な便秘がある人の腸内フローラを調べたところ、健康な人とは腸内フローラのバランスが違うことが分かっています*1。

腸内フローラのバランスが崩れると、有害菌によってアンモニアやフェノール、p-クレゾール、硫化水素などの有害物質が多く作られます。中でもフェノールやp-クレゾールは腸管内で吸収され、血液を介して肌にまで届きます。フェノールやp-クレゾールが多くなると肌表面の角化細胞の分化が抑制される可能性があると報告されており*2、正常なターンオーバーを妨げて様々な肌トラブルを引き起こす原因になると考えられます。

便秘と肌荒れを改善するには、乳酸菌が効果的!

便秘による肌荒れを防ぐには、腸内環境を整えることが肝心です。腸内環境を整える作用のある乳酸菌やビフィズス菌などの有用菌は「プロバイオティクス」と呼ばれていますが、プロバイオティクス食品は便秘を解消し、肌荒れを改善する作用があることが複数の研究で確認されています。

慢性的な便秘と肌の乾燥に悩む20~39歳の女性を対象とした研究によると、乳酸菌を含むヨーグルトを4週間にわたって毎日摂取したところ、便秘の症状が軽くなり、肌のハリや乾燥具合などの肌の状態が改善したと報告されています*3。この研究では、美肌効果があると言われるコラーゲンペプチドとセラミドを配合したヨーグルトを摂取した場合のほうが肌の状態がより良くなることが確認されており、こうした成分とプロバイオティクス食品を組み合わせて摂るのも効果的だと考えられます。

ヨーグルトのほかに、乳酸菌を含む顆粒タイプの食品を使用した研究でも、便秘症状や肌の乾燥、色ムラ、毛穴などの改善が確認されており*4、乳酸菌の摂取は便秘による肌荒れの改善に有用な方法と言えそうです。

腸活で美肌を手に入れるなら、麦ごはんがおすすめ

プロバイオティクス食品を摂取する際には、水溶性食物繊維やオリゴ糖などの有用菌のエサとなる成分(プレバイオティクス)を一緒に摂るとより効果的です。

健康な女性を対象とした研究によると、ビフィズス菌とガラクトオリゴ糖を含む発酵飲料を4週間摂取したところ、排便頻度や便の量、肌の水分量、肌の透明感が増し、シワが減ったと報告されています*5。さらに、ビフィズス菌とガラクトオリゴ糖を含む発酵飲料の摂取後は、尿中に排泄されるフェノールとp-クレゾールの減少が認められました。このことから、肌の透明感がアップしたのは、腸内環境の改善によって腸内で発生する有害物質が減少したためだと考えられます。

水溶性食物繊維やオリゴ糖は腸内に棲みついている有用菌のエサとして機能するため、発酵食品を食べないときでも毎日の食事で積極的に摂りたい成分です。β-グルカンと呼ばれる水溶性食物繊維が豊富な大麦を摂取すると、排便の頻度や便の量が増え、肌のキメなどが改善することが確認されており、大麦は便秘による肌荒れ対策にぴったり。腸を整えて美肌を目指すなら、いつものごはんを麦ごはんにチェンジするのがおすすめです。

麦ごはんの炊き方は「じつはとっても簡単! 麦ごはんの炊き方」で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

*1 内藤裕二ら: 日本消化器病学会雑誌 2018; 115: 940-949.
*2 Iizuka R, et al.: Microb Ecol Health Dis 2009; 21: 221-227.
*3 伊澤佳久平ら: 腸内細菌学雑誌 2008; 22: 1-5.
*4 宮澤賢司ら: 日本乳酸菌学会誌 2017; 28: 12-17.
*5 Mori N, et al.: Biosci Microbiota Food Health 2016; 35: 105-112.