内側から整える食生活のすすめ
食べるからだメンテナンス
便秘に悩む方必見!便秘解消に効果的な食べ物&飲み物
便秘を抱える人の割合は、日本人の約3割にも上ります*1。便秘は女性に多い傾向がありますが、加齢とともに男性でも増え、シニア世代では性差を問わず便秘に悩む人が少なくありません。今回は、慢性的な便秘の悩みを解消するのに有効とされる食べ物や飲み物について、エビデンスをもとに紹介します。
便秘のリスクを高める生活習慣とは?
便秘は、その原因によって大きく2つに分類されます。1つは、大腸が狭まって便が通過しにくくなるなど、大腸の形態的な異常が原因で便秘になる「器質性便秘」です。器質性便秘では腸に何らかの病気が隠れている可能性があるため、便秘がなかなか改善しない場合はきちんと検査を受けることが重要です。
もう1つは、大腸に異常がないにもかかわらず排便機能が低下し、便秘が起こる「機能性便秘」です。機能性便秘は様々な要因によって引き起こされます。糖尿病などの病気や降圧剤などの薬の影響で機能性便秘になることもあるため、持病がある場合はかかりつけ医に相談するようにしましょう。
病気や薬などの要因が考えにくい場合、食事などの生活習慣が便秘(機能性便秘)の発症につながっている可能性があります。便秘のリスクを高める生活習慣に当てはまるものがあるなら、まずそれを見直すことが便秘改善の第一歩です。
[便秘のリスクを高める生活習慣*2]
・朝食を摂らない
・排便する時間帯が不規則
・ダイエットをしていて食べる量が少ない
・野菜・果物や穀物など食物繊維を含む食品の摂取量が少ない
・水分の摂取量が少ない
・運動習慣がなく、あまり体を動かさない
・十分な睡眠をとれていない
ミネラルウォーターは便秘解消に効果的!?
日本人女性を対象とした研究によると、食事からの水分摂取量とマグネシウム摂取量が少ない人では機能性便秘になりやすいことが報告されています*3。大人の場合、1日当たり1L以上は飲み物から水分を摂ることが大切です。便が硬く細いタイプの人は、水分を多めに摂るよう心がけましょう。
食べ物ならキウイフルーツや大麦がおすすめ!
便秘の原因が食物繊維不足にある場合、食物繊維をしっかり摂ることが症状の改善につながります。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がありますが、どちらも快適なお通じには欠かせません。
キウイフルーツには両方の食物繊維が含まれており、様々な研究で便秘改善作用があることが確かめられています。60歳以上の機能性便秘の患者さんを対象にした研究によると、1日当たり2個のグリーンキウイを食べると排便回数が増加し、便秘のつらさなどが改善されたと報告されています*5。
大麦も水溶性と不溶性、両方の食物繊維が豊富な食品です。特に、腸内フローラのバランスを整えるのに役立つ水溶性食物繊維を多く含んでおり、便秘解消に役立つと期待されます。実際に、健康な日本人女性を対象とした研究では、3割麦ごはんを1日3食食べることで排便量が増加することが確認されています*6。
そのほか、ヨーグルトやプルーンといった便秘対策の定番の食品でも、実際に便秘を改善する作用があることが確認されています*7,8。
食事で便秘解消に取り組むには、継続することが大切。無理なく続けるコツは、毎日食べる主食に便秘改善作用のある食品を取り入れることです。いつものごはんを麦ごはんに変えれば、主食から摂れる食物繊維量を手軽にアップできます。作り方は「じつはとっても簡単!麦ごはんの炊き方」で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
*1 鳥居 明: 診断と治療 2008; 96: 1611-1620.
*2 水城 啓ら: 日本内科学会雑誌 2019; 108: 22-28.
*3 Murakami K, et al.: Eur J Clin Nutr 2007; 61: 616-622.
*4 Bothe G, et al.: Eur J Nutr 2017; 56: 491-499.
*5 Rush EC, et al.: Asia Pac J Clin Nutr 2002; 11: 164-168.
*6 Li J, et al.: Nutrition 2003; 19, 926-929.
*7 飯野久和ら: 栄養学雑誌 2013; 71: 171-184.
*8 Chey SW, et al.: Am J Gastroenterol 2021; 116: 1304-1312.