ホーム大麦百科/イタリアの伝統スープ「ズッパ」発祥の立役者は大麦だった!

イタリアの伝統スープ「ズッパ」発祥の立役者は大麦だった!


野菜や肉、魚のだしがたっぷりしみ出たスープは、副菜にもメインにもなり、ご飯を入れたりパンを浸したりしても楽しめることから、家庭で大活躍する一品です。イタリアでは大麦を具材として入れることも多く、実はイタリアの定番スープ「ズッパ」発祥の背景には大麦の存在が。歴史を知って、大麦スープをおいしく味わってみてはいかがでしょう。

古代ローマでも大麦料理が食べられていた

世界最古の穀物の一つといわれる大麦は、古くからさまざま国で日常の食材として親しまれてきました。中でも農耕民族であるイタリアでの歴史は古く、かつては主に、一度粉状にした大麦を、パンのように焼いたり他の食材と煮込んだりして食べていたとか。古代ローマのもっとも古い料理の一つに「ブルス」という大麦のお粥があったことからも、イタリア料理と大麦の深い関係性がうかがえます。

特に大麦栽培が盛んな国北部では、大麦は今でも家庭料理に欠かせません。イタリア語で大麦は「オルゾ」と呼ばれることから、米の代わりに大麦で作るリゾット「オルゾット」(ちなみに米は「リーゾ」という)やサラダ、それからさまざまなスープの具材として使われるのが定番です。

大麦のパンがなければスープは生まれなかった?

特に、大麦が使われるのは「ズッパ」と呼ばれるスープです。「ズッパ」とは、パンが入っているか添えられているスープのこと。実はこの「ズッパ」は、大麦があってこそ生まれた料理といえます。

というのも、今でこそパンは、小麦で作られるやわらかいものが主流ですが、古代は、大麦を原料にしたとても硬いものでした。また、一度焼いて何日にも分けて食べる保存食であったため、焼いてから日が経ったパンは硬すぎてそのままでは食べることはできません。それをおいしく食べるために煮汁やワインなどをかけ、ふやかしたものがスープの始まりだと考えられています(イタリアのみならず、各国でも同様の食べ方がされていたとか)。これが時代を経るうちに、イタリアでは大麦を具材に使った「ズッパ」として親しまれるようになったというわけです。

もし大麦の硬いパンがなければ、スープ料理は生まれなかったかもしれませんね。ご家庭でスープを作る際には、ぜひ大麦を具材に加えてみては? 歴史を知ることで、いつものスープもより味わい深く感じられそうです。