内側から整える食生活のすすめ
食べるからだメンテナンス
低GIから低GLへ。進化する血糖値コントロール
食後に起こる「血糖値の急上昇」が肥満の原因になるということがよく知られるようになったのは、比較的最近のことです。それとともに「糖質制限ダイエット」「ロカボ」「カーボカウント」など、関連するキーワードが続々と登場しています。「低GI」もそのひとつ。最近ではさらに進んだ「低GL」という考え方が急浮上してきました。
「GI値」は、血糖値の上がりやすさを知る指標
「食後血糖値を抑える賢い食べ方『セカンドミール効果』」でもご紹介しているように、インスリンは食後に増える血液中の糖を、エネルギー源としてすみやかに体の各組織に送る働きをします。その一方、処理しきれなかった余分な糖は、中性脂肪として貯えようと働きます。そこで、インスリンの分泌を抑えれば余分な糖が脂肪になりにくくなり、肥満防止につながるというのが、「低インスリンダイエット」の考え方です。このとき指標となるのが、食品が血糖値を上昇させるスピードを計測した値、「GI値(グリセミック・インデックス)」。ブドウ糖を摂取した時の血糖値の上昇率に対して、ある食品に含まれる糖質量が50gになるまで食べたときの血糖値の上昇率を数値化したものです。GI値が低ければ、食後血糖値の急上昇を防ぐことができ、インスリンの分泌量が抑えられるというわけです。血糖値が上がりやすい食品の多くは、糖質を多く含み、消化が良くすぐにエネルギーになりやすいもの。白米、白パン、芋類、砂糖などの食材は高GI食品です。白米より玄米、白パンより全粒粉パンなど、精白されていないほうが消化しにくいため、GI値は低くなります。
より現実的な指標として注目される「GL値」
日本ではGI値が指標として重視されていますが、欧米ではすでに「GI値」をさらに進めた「GL値」(グリセミック負荷)という考え方が主流になりつつあります。GI値は、「ある食品に含まれる糖質量が50gになるまで食べたときの値」ですが、にんじんでいえば4本ほど食べないと糖質を50g摂ることはできないので、あまり現実的ではありません。そこで考えられたのが「GL値」で、通常の1人前の常識的な食事の中で、それぞれの食材がどの程度血糖値を上げるのかを示しています。
大麦のGL値は白米の半分以下というデータもあり、白米を麦ごはんにすることで、カサは減らさずにGL値を下げることができます。食品を「GL値」で見直すことによって、今までは食後血糖値を上げやすいと思われていたにんじんのような食品が、実は意外とそうではなかったと評価される例も少なくなさそうです。日本ではまだあまり知られていない「GL値」ですが、今後は日本人におなじみの食材での研究が進むことが期待されています。