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色とりどりの野菜がたっぷり!体もよろこぶ 韓国の麦ごはん「ポリパッ」


ぷちぷちとした食感の丸麦、あっさりとした押麦、お米のような米粒麦……、見た目も口当たりもそれぞれ異なる大麦。お好みの大麦を白米に混ぜて炊くだけでそれぞれの「麦ごはん」を味わえますが、それ以外にも麦とろごはん、炊き込みごはん、リゾット、おにぎり、チャーハンなど、さまざまなバリエーションのレシピが楽しめます。近年の健康志向の高まりから、私たちの食生活に定着してきた大麦ですが、実はお隣の韓国でも昔から主食として重宝されてきました。今回は、韓国の大麦の歴史や食文化を探りながら「韓国流麦ごはん」を紹介します。

三国時代から食べられていた大麦

韓国では大麦のことを「ポリ」といいます。大きく二つの品種に分けられ、二条種で皮が実から剝がれにくい皮麦の「コッポリ」と、六条種で皮が実から剥がれやすい裸麦の「サルポリ」があります。そもそも、韓国ではいつごろから大麦を食べるようになったのでしょうか。三国時代(4世紀~7世紀。高句麗、百済、新羅の三国が権力争いをした時代)の記録によると、この頃から農耕技術が発達して米が主食となっていったものの、エリアによっては米と同時に大麦やアワ、キビ、大豆などの雑穀類も盛んに食べられていたようです。

「薬食同源」と「五味五色」に基づく食生活

韓国では食生活のベースに「薬食同源(やくしょくどうげん)」という思想があります。これは、“体によい食べもの”は“薬”と根源が同じであり、健康増進のためにも体によい食事が大事であるという考え方です。さらに、食べものにはそれぞれ効能があると考えられており、日ごろから病気にならないよう偏食を避け、栄養バランスのよい食生活を心がけています。この「薬食同源」のほかに、「陰陽五行説」に基づいた「五味五色」という考えがあります。食べものは五つの味と色をそろえるとよいという意味で、「五味」とは塩味・酸味・苦味・甘味・辛味の五つの味を、「五色」は赤・青・黄・白・黒の五色の食材を指します。

見た目も鮮やか、栄養バランスもよい「ポリパッ」

韓国では、麦ごはん、あるいは麦ごはんとおかずを混ぜたレシピのことを「 (ポリパッ)」といいます。日本の麦ごはんよりも大麦の割合が多く、白米と半々で混ぜたり、大麦100%で炊いたりするようです。一般的には、「ポリパッ」は麦ごはんにナムル(ほうれん草・ゼンマイ・豆もやしなどの野菜の和えもの)とコチュジャン(唐辛子みそ)、ごま油を入れて、スプーンでよく混ぜて食べます。スプーンでごはんとおかずをよく混ぜる食べ方は、日本でもおなじみのビビンバと同じ。しかし、「ポリパッ」はごはんとナムルが別々の器で出てくるのが特徴です。また、ビビンバのように肉や魚は入れず、野菜中心のヘルシーなメニューです。麦ごはんのお共のナムルには「五味五色」が入っています。具材はレシピによってさまざまですが、小松菜やほうれん草(青)、赤ピーマンやにんじん(赤)、かぼちゃ(黄)、ゼンマイ(黒)、豆もやしや大根、すりごま(白)など、五色が組み合わせられています。そして、砂糖・塩・酢・ニンニク・コチュジャン・ごま油などから、具に合わせてだいたい五種で味つけをします。韓国を代表するキムチも、見事に五味五色が合わさった漬物です。

健康ブームで人気の「ポリパッ定食(麦ごはん定食)」

韓国でも健康ブームが続いており、「ポリパッ」を食べやすくアレンジした「ポリパッ定食(麦ごはん定食)」を出す飲食店があります。こうしたお店では、器に入った麦ごはんとナムル以外にも数多くのおかず(パンチャン)が食卓にずらりと並びます。その中からお好みで6~7品ほどを選んで麦ごはんの器に入れ、コチュジャンやごま油などと一緒にかき混ぜます。混ぜたらそのまま食べても、サンチュなどの野菜に包んでもよし。野菜がたっぷり摂れ、栄養バランスも文句なしの一品のできあがり! 白米の17倍と食物繊維が多く、摂り続けることで腸内環境が整って便秘解消にもなる大麦。「ポリパッ」は、韓国でも健康や美容に気をつかう、若い世代や中高年に根強い人気があるようです。