用途に合わせて活躍する麦
世界で食べられている主な麦
世界各地で古くから食べられてきた麦。大麦、小麦をはじめいろんな種類があり、世界各地でさまざまな用いられ方をしています。
- 大麦
- 古くは古代エジプトやインド文明をはぐくんだ、食物繊維にすぐれた健康食。
- 小麦
- パンや菓子、麺類など、グルテンを生かした料理で、世界中で食されている。
- ライ麦 (黒麦)
- 寒冷地で育つ麦で、ドイツのライ麦パンが有名。ビタミンB群や食物繊維が豊富。
- エン麦 (オーツ麦)
- グラノーラやオートミールなどに加工される麦。外皮にβ-グルカンを多く含む。
- はと麦
- たんぱく質、ロイシン、ビタミンB群などが豊富で、薬膳食材として用いられる。
「大麦」は、小麦とどう違う?
大麦も小麦も同じイネ科の植物です。大麦は小麦に比べて葉が短く幅広で、幼植物の頃は小麦よりも大柄に見えることから「大麦」の名がついたといわれており、実の大きさはほとんど変わりません。
大麦にはグルテンが含まれていない一方、小麦は大麦に豊富なでんぷんがあまりありません。そのため大麦はごはん、小麦はパンに適しています。また、大麦はビールや麦茶などでも親しまれています。
最近は、大麦を焙煎して粉末にした「麦こがし(はったい粉)」も、その健康効果から見直されています。
「もち麦」は大麦の一種
大麦の品種にも「うるち」と「もち」がある
米に「うるち米」と「もち米」があるように、大麦にも粘りが少ない「うるち性」と粘りが強い「もち性」があり、それぞれに「二条」と「六条」があります。
食物繊維を多く含む大麦のなかでも断トツに食物繊維量が高く、ぷちぷち・もちもちした食感が魅力のもち麦は、もち性。一方、麦とろごはんに使われるあっさりとした食感の押麦は、うるち性の代表格です。
- 二条と六条、皮と裸
- うるち・もち性ともに、結実する穂の数により小花が2列に並んでつく二条種と、6列に並んでつく六条種とに分類され、さらに「皮麦」と「裸麦」に分けられます。
皮麦は殻が子実から離れにくいのに対し、裸麦は容易に離れます。
二条大麦は西日本、六条大麦は関東以北で多く栽培されています。
【二条大麦】
【六条大麦】
二条大麦も厳密には穂が6列あるのですが、対角線上の2列だけが成長しているんです。
加工違いの4つのタイプ
品種とは別に、加工別のタイプがある
大麦には、食感を良くしたり、調理しやすくしたり、見た目を良くするなど目的に応じたさまざまな加工方法があります。スーパーなどでよく目にする商品には、以下のようなタイプがあります。
丸麦
大麦の外皮やぬかを削り取ったままのもの
押麦・胚芽押麦
丸麦を押して薄く平らに加工したもの
粒の真ん中にある黒い筋(黒条線)が特徴
米粒麦
黒条線の部分で2つに切って黒条線を除き、米粒状に加工したもの
白麦
黒条線の部分で2つに切り、押して薄く平らに加工したもの
【精麦の流れ】
- 1. 精選・搗精
- 収穫した大麦から、粒の小さいものや軽いものなどを取り除いた後、回転する砥石で外皮やぬかを削り取る。
- 2-a. 切断
- 白麦や米粒麦になる原料は、麦粒の中央にある黒条線に沿ってカッターで2つに切断。
- 2-b. 圧ぺん
- 圧ぺんロールで平らに押しつぶす。
- 3. 搗精
- さらに表面を砥石で削って磨く。
米粒麦はこの後、蒸煮・冷却・乾燥を経て、さらに搗精して米粒と同じ大きさまで磨く。 - 4. 圧ぺん
- 圧ぺんロールで平らに押しつぶす。