知っていますか?
大麦の違いや特徴。

大麦と小麦の違い

実は、ムギは世界中で一番多く作られている穀物。小麦、大麦、ライ麦…その種類は数多く、すべてイネ科に属する植物です。大麦の栽培は、秋に種をまきますが、直接畑にまく「直播き」です。そしてある程度成長したところで大麦は冬を越えるのですが、そのときに忘れてならないのが「麦踏み」。大きなローラーで思いっきり踏みつけるのですが、実はこれがないと、大麦は分けつが起こらず、茎が増えないのです。
葉は小麦よりやや短いが幅広く、このため幼植物の時は小麦より大柄に見えるため大麦の呼名がついたといわれます。葉耳は小麦より大きい。止葉は短小で品種の特徴が出ます。主稈葉数は12.8~18.0枚であり、主稈葉数と出穂期の間には小麦と違って相関関係はほとんど認められません。
大麦の品種は長型(並性)と短型(渦性)の2型に区別されますが、この区分は暗黒条件下で鞘葉の伸びる長さが37㎜、明条件下で34㎜を境にして分けることができます。長型の長稈品種では稈長180㎝になりますが、一般には1m前後で日本では概して90㎝以下の品種が多く、一般に小麦より低いです。短型品種は短稈で、草丈、葉長、穂や芒の長さ、粒長などについても長型品種より短い性質があります。 
小麦と大麦では、大麦の方が粒が大きいというわけではなく、実の大きさにはあまり変化がありません。でも、その用途は全く違うんです。例えば、パンは必ず小麦が原料だし、麦ごはんは必ず大麦が原料。小麦と大麦、いったい何が違うのでしょう?そこで、大麦でパンを、小麦で麦ごはんを作ってみることにしました!すると、大麦パンはなにやらひび割れを起こしてやたら堅いパンになってしまい、小麦ごはんはパサパサ。大麦にはパンがふっくらするために必要なグルテンが全く含まれておらず、一方小麦は大麦ほど吸水率が良くないため、ごはんには向かないのです。
大麦の成分は小麦とよく似た成分です。小麦に比べて繊維がやや多く、灰分、カルシウム、鉄分、ビタミンB1、ニコチン酸などがやや多くあります。(押麦に加工したものは糖質は高まりますが、脂質、繊維、灰分、無機質、ビタミン類はやや低下します。)
大麦の成分で最も多いのは澱粉であって、いわゆる澱粉作物と理解してもかまいません。次に多い成分はたんぱく質ですが、小麦のたんぱく質であるグルテンは粘りがあり、パンや麺に適しているのに対し、大麦のたんぱく質はホルデインと呼ばれ、粘りがないのでパンにすると膨れませんし、麺にするとつなぎがないので切れ切れになります。

二条大麦と六条大麦

二条大麦はお酒に、六条大麦は食用

大麦には、二条大麦と六条大麦とがありますが、日本ではふつう大麦と言うと六条大麦のことを言います。二条大麦は、ビールの原料になる品種で、ビール麦とも呼ばれています。大麦は米などより繊維質が多く含まれるため、古くから日本独自の技術で押麦(精白して加熱し平たくする)や丸麦(精白したもの)、白麦に加工され、消化を良くして食用にされてきました。他、煎って粉にした麦こがしや、煎った実を煮出す麦茶も日本ならではの味わいです。
結実する穂の数により、小花が六条に並んでつく六条種と二条に並んで付く二条種に分類され、さらに皮麦と裸麦に分けられます。皮麦は殻が子実に密着して離れにくいですが、裸麦は容易に離れます。二条大麦は、四国・中国・九州など西日本での栽培が多く、六条大麦の栽培は関東以北に多いです。
子実は先端がややとがり、背面に縦溝があります。一般に二条種は六条種に比べ、粒が豊満で大きいです。千粒重は六条大麦30~40g、裸麦25~35g、二条大麦40~50gです。大麦にも米と同様に糯(もち)種があります。
本来大麦はすべて六条に粒がなるようですが、そのうち穂を上から見たときに対角線上にある2つの列だけが成長してあたかも、穂の列が2つしかないように見えるものが二条大麦と呼ばれているそうです。

大麦を5つのタイプに加工しました

一口に「大麦製品」と言っても、いろいろな種類があります。食べやすさや用途・栄養価別に選んでいただけるよう、5つのタイプがあります。あなたのお気に入りになるのは、どのタイプの大麦でしょう。

押麦

最もスタンダードな大麦です。粒の真ん中にある黒条線が特徴で、蒸気に当てた後ローラーで圧扁しています。よく「麦とろごはん」などに利用される素朴な大麦です。

胚芽押麦

独自の技術により、栄養の宝庫「胚芽」を残した押麦です。大麦の胚芽には、ビタミンB1やEなどビタミンがたっぷり含まれています。

米粒麦

大麦の形をお米とそっくりに加工することで、食べやすい大麦をめざし開発しました。また、米粒麦は比重もお米に近くなるよう加工してありますので、炊き上がった麦ごはんの大麦があまり目立たないことも特徴です。はくばくの技術が詰まった大麦です。
当社商品「純麦、白麦習慣」は、米粒麦を更に白く磨き上げた商品です。

ビタバァレー

疲労回復に役立つビタミンB1を強化した大麦です。丸麦を2つに割り、蒸気に当てた後ローラーで圧扁しています。押麦に見られる黒条線が目立たず、食べやすい大麦です。
写真ではちょっと分かりずらいですが、他のものより少しだけ黄色いです。これはビタミンの色です。

丸麦

大麦の外皮を取り除き、周りを削り取った状態そのままの形をした丸い大麦です。当社商品「もち麦ごはん」は丸麦になりますが、他の大麦商品同様に麦ごはんとしてご利用いただけます。プチプチ、プリプリした食感が特徴です。また、ゆでてスープやその他の料理にもご利用いただけますので、用途の幅が広がります。

市販されている大麦は、精製や加工の違いによって上記のような種類に分けられます。押麦や胚芽押麦、ビタバァレーは、大麦らしい味わいが強く、米と混ぜて炊くと、形や比重の違いから、炊き上がった時に米と分かれてしまいます。大麦を米とほぼ同じ比重になるように同じ形に加工した米粒麦は、米と混ざりやすく、炊き上がった時にあまり違和感がありません。

米粒麦の優れた美味しさ

精白しても変わらない大麦の効果

大麦を精白し、お米と同じ比重で同じ形に加工した米粒麦は、お米に混ぜて炊いてもほとんど目立たない、それでいてさっぱりとした味わいのある麦です。麦ごはんが初めての人にもぴったりの麦です。
押麦を食べている人の中には、精白して大麦の黒い筋の部分がなくなってしまうと、大麦の食物繊維や様々な効果も減ってしまうのでは、と思っている人も少なくないようですが、そうした心配は全くありません。
小麦や米は、精白度が高くなるにつれて、大幅に食物繊維の量が減ってしまいます。これは、食物繊維がこれらの穀類の外皮に多く含まれているためです。しかし、大麦の場合、でんぷんが含まれる胚乳と呼ばれる部分に、食物繊維が多く含まれているため、精白度が高くなっても、含まれる食物繊維の量は変わりません。この、でんぷんとともに食物繊維が存在する点が、大麦の食物繊維が生活習慣病などの予防に適しているという理由の一つではないかとも考えられています。
でんぷんと食物繊維が同じ部分に含まれているということは、外側をいくら削っても食物繊維の含有量が変わらず、それだけに、おいしく食べるための様々な加工が可能になります。おいしくないものは長続きしませんから、おいしいということは、毎日食べ続けるためにとても重要なことなのです。

米粒麦の美味しさ

米粒麦は炊いた時に、お米に比べて粘りが少なくパラパラしていて、食べるとタピオカのようなプチプチとした食感があります。戦後、米が足りずに麦を食べた経験のある世代の方には、この感触によくないイメージを持っている方も多いようですが、逆に、そうした偏見のない世代の方には受け入れられやすく、むしろこの食感の軽さに人気があるようです。
米粒麦はお米に混ぜて炊くほかにも、肉や魚、野菜などと取り合わせて、様々なおかずにアレンジできます。アメリカでは大麦は、ビールやウイスキーなどのアルコール飲料の醸造用や、飼料として使われていましたが、大麦の食物繊維の効果が明らかになるにつれて、食用として見直され、注目されています。ただし、アメリカにおいても米食の習慣がないので、スープの浮き実にしたり、煮込みやサラダに加えたりと工夫はされているものの、毎日食べるというのはなかなか大変なようです。その点、和食にはごはんがつきものですから、お米に大麦を混ぜた麦ごはんを食べるということは、とても自然なことです。そういう意味では、日本人は大麦を食べやすい環境にあると言えます。