大麦

庶民の健康食として古くから愛される。

大麦の原産国は西南アジアとされ、古代エジプトからヨーロッパ、インド、中国へ渡来しました。インド文明は大麦によってはぐくまれたとさえいわれ、チベットでは現在も主食にしています。日本でも米とともに非常に古くから作られ、庶民の食として定着する一方、健康食としての一面もすでにもっていました。日本最古の医学書にもその有用性がうたわれており、徳川家康が健康のために麦めしを好んで食べていたことも有名。その後、米の生産が安定したため、調理の手間がかかる大麦は敬遠されてきましたが、現在では炊きやすく加工された「押麦」や「米粒麦」などが浸透し、その豊富な栄養も改めて見直されました。ぷちぷちとした食感が特徴の「もち麦」も大麦の一種で健康食として注目されています。

食物繊維が豊富。白米の17倍。

大麦が優れているのは食物繊維。その豊富さは白米の17倍以上で、水溶性、不溶性という2種類の繊維をバランスよく含む点が特徴です。日本人に不足しがちな食物繊維。健康のために大麦を食生活に取り入れてみてはいかがですか。

小麦

小麦は風土や気候に適応しやすい作物で、世界各国で栽培されており、世界各国の多くの地域で主食として食されています。日本国内でも小麦粉を原料としたパンや菓子、麺類など多くのメニューで親しまれています。
小麦粉は、タンパク質(グルテン)の量によって、薄力粉、中力粉、(準強力粉)、強力粉として分類され、薄力粉は天ぷら粉や菓子用粉、中力粉はうどん用粉、(準強力粉は中華麺用粉)強力粉はパン用粉等として主に使用されています。
最近では食物繊維を多く含む外皮の部分まで挽きこんだ全粒粉や、ビタミンが豊富に含まれる小麦胚芽など、これまでは使用されていなかった部分についても注目されています。

そば

そばはロシアやポーランド、国内では北海道など主に寒冷地で栽培されています。粒のままスープなどに入れて食される地域もありますが、多くは粉に挽いてから使われています。国内では麺の「そば」として食されるのが一般的で、使用する部位によって、更科そば、藪そば、御膳そばなどになります。また、欧米では、ソバクレープ(ガレット)やパンケーキを作るときにも用いられています。
必須アミノ酸のリジンや、ルチンのようなポリフェノールも多く含みます。

白米

日本の主食 「ごはん」。

日本で「ご飯」として想像するもの。玄米を精米(搗精)した状態の米を指します。一般にご飯として食べられるうるち米と、餅や赤飯、おこわなどに用いられるもち米に大別され、加工食品や清酒の原料としても使用されます。白米を炊いたご飯は消化も食感も良く、胚芽や糠層が残っている玄米に比べると味が淡白で、美味しく食べやすくなります。

主な成分は炭水化物で、体を動かすエネルギー源です。

黒米

甘い香りの美容食。

古代米とも呼ばれ、黒米玄米の表面は黒く、玄米種皮の部位は紫黒系色素(アントシアニン)を含んでいます。中国では、漢の時代に張騫(ちょうけん)が黒米を発見してから出世したという故事から、縁起の良い出世米として宮廷献上米になったと言われています。以来、宮廷料理にも重用され、楊貴妃も美容食として黒米を愛用したと伝えられています。

古代米の一種。

白米と比べてたんぱく質やビタミン類、天然色素であるアントシアニンを豊富に含みます。

赤米

古代米のひとつ。

2千年以上前の縄文時代晩期に中国大陸から伝わり、以来、邪馬台国や大和朝廷への献上米も赤米が主だったといわれています。野生稲の大部分が赤米だったことから、米のルーツ(赤飯のルーツ)とされています。控えめな香りと紅い色が特徴で、あっさりとした味。

カテキン、タンニンが鍵。

赤米の色素であるカテキン・タンニンは、ワインやお茶にも含まれ有名です。食物繊維を含み、マグネシウム、ビタミンB1なども含みます。

発芽玄米

玄米の豊富なミネラルがさらにパワーアップ。

玄米を水にひたし、芽を小さく出させて低温で維持させたものが発芽玄米です。
発芽するという現象で、酵素が玄米の外側の硬いぬかをやわらかくし食べやすくなるとともに、栄養価を引き出します。
「ガンマアミノ酪酸」(通称ギャバ)が玄米以上に高まります。食感は、弾力とボリューム感があり噛むほどに味わいが増します。白米にはない深みのある風味が特徴です。

ヘルシーフードとしても注目。

鉄分、マグネシウムを含み、健康的な食事のお手伝いをします。

黒豆(大豆)

大豆の一種でマメ科の一年草で、別名【烏豆(カラスマメ)】とも呼ばれます。品種によって、小さいものから大きいものまで幅広く、黒い皮にはポリフェノールの一種であるアントシアニンを含みます。煮ても、煎っても、茹でてもおいしく召し上がれます。ごはんに混ぜて炊飯するとほっくりとした食感になります。

女性の味方。

女性に嬉しい大豆イソフラボンを含み、黒色色素「アントシアニン」に加え、「プロアントシアニジン」も含んでいます。黄大豆に比べるとタンパク質がやや多く、脂質は少なめです。

小豆

東アジア原産、マメ科の一年草。日本には3〜8世紀に朝鮮半島を経てきたものとされ、大豆とともに古くから栽培されています。古くから小豆色には魔よけの力があるとされ、今でも小正月に小豆粥を食べる習慣が残っています。赤飯に小豆が用いられるようになったのは、江戸時代以後。

小豆の皮には「サポニン」という注目の栄養成分が含まれています。たんぱく質、ビタミンB1、B6を含み、食物繊維が多く含まれているのが特徴です。和漢としてよく利用されています。
日本では、あんこやお赤飯、お汁粉などで馴染み深い素材です。

きび

冷めても、もちもち。おにぎりやお弁当に最適。

きびはイネ科に属する一年生草本で、アジア、北アフリカ、南ヨーロッパにおいて有史以前から栽培されていたとされています。日本へは、アワやヒエより遅れて中国大陸から伝えられたと考えられています。キビは、生育期間が短く、乾燥に強い作物です。米と同じように、モチ種とウルチ種があります。 桃太郎でもおなじみの【きびだんご】の原料で、団子、餅、お菓子などにも使われています。香りとコクがあり、味に深みをあたえてくれます。冷めてももちもちとしておいしさがそのまま、彩りもきれいなのでおにぎりやお弁当にも最適。

日本では五穀の1つとされている。

白米に比べ、食物繊維、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛など多くが含まれています。粒はアワよりやや大きく、種類により外観は黄色・白色・褐色があります。卵のようなコクのある味が特徴です。

あわ

甘みがあり独特のもっちりとした食感。

日本では米や麦が普及するまで重要な穀物として扱われてきました。その栽培は、ヒエとともに古く縄文時代までさかのぼることができ、明治の末期まで主食の一つとして重要な穀物でした。阿波の国(徳島県)は、あわの名産地であったことからきているそうです。’あわぜんざい’や’あわおこし’などに利用されることでも有名です。甘みがあり独特のもっちりとした食感がおいしく、くせがなくてやさしい味わいの穀物です。食べやすく、消化もよい。

日本では五穀の1つとされている。

優れた栄養価を持ち、白米に比べビタミンB1が多く食物繊維や鉄分、マグネシウムも含んでいます。

ひえ

ひえは、イネ科の植物で、原産国はインド。稲作が始まる以前から日本では仏教伝来のコースでたどりつき、「あわ」とともに主食として食していました。ひえは、冷害(冷え)に強いことから名づけられ、凶作のとき何度も祖先の命を救ってきた穀物ともいえます。
現在栽培されているものは、ほとんどがウルチ種で、モチ種のものは「もじゃっぺ」として栽培している地域もあります。

日本では五穀の1つとされている。

優れた栄養価を持ち、食物繊維を含みます。増加しつつある食物アレルギーの患者のための主食穀物としての需要も期待されています。

はと麦

ふっくらとして旨みがある薬膳食材。

イネ科ジュズダマ属で生薬名はヨクイニン、雑穀の中では最も粒が大きい。はとが好んで食べたことからその名がついたとも言われています。アジア山岳地方での栽培の歴史が古く、中国では解毒によいとされお粥やお茶に、また薬膳食材として利用されてきました。ふっくらとして噛み応えがあり、淡白な味わいの中にも独特の旨みがあります。

女性から注目されている。

はと麦は女性にうれしいたんぱく質を含み、アミノ酸(グルタミン酸、プロリン、ロイシン)を含んでいます。ビタミンB群、ミネラルを含み、和漢として良く利用されています。

たかきび

イネ科の仲間で、別名もろこし、コーリャンとも呼ばれています。 アフリカ原産の穀物で紀元前3千年より以前から栽培され、インドを経て東アジアに伝播し、紀元前4世紀ごろには中国へと伝わり、北部から満州にかけて広く栽培されるようになりました。東アジアでは炊いたり、粉にしてだんごなどに用いられています。

豊富なカリウムの他に、マグネシウム、カリシウム、鉄などのミネラルを含み、弾力のある食感でこくがあるため、茹でてひき肉の替わりに使用しても美味しく召し上がれます。近年ではたかきびポリフェノールのはたらきにも注目されています。

アマランサス

ぷちぷちとした食感が楽しい。

中南米を原産国とする作物で、古代アステカやインカ帝国では豆類、トウモロコシに匹敵する重要な主食でした。1975年にアメリカ科学アカデミーでその栄養学的特性が高く評価され、「驚異の穀物」として注目されています。種子はけしの実ほど小さく、甘い味わいでぷちぷちとした食感が楽しめます。やわらかめに炊くとふんわりと仕上がり、ゆでるとほぼ透明になります。ドレッシングなどのアクセントにもおすすめです。

穀物の中では特にカルシウム含有量が優秀。

豊富なたんぱく質と、穀物の中で群を抜くミネラルの含有量が注目されています。たんぱく質は質的にも優れ、「メチオニン」など穀物に不足がちなアミノ酸も多く含みます。リジン、メチオニンは、「アセチルカルニチン」の原料にもなることでも知られています。ミネラルも豊富で、カルシウムは白米の23倍、マグネシウムは約10倍、鉄分も約6倍含んでいます。

キヌア

穀物では不足しがちな必須アミノ酸もバランス良く。

キヌアは、ほうれん草と同じアカザ科の1年草で、高地や湿原、塩害地等の一般に作物が育たないというわれるところでも生育できる作物。南米ペルーを中心としたアンデス高地で数千年前から栽培され、「母なる穀物」として重用されています。たんぱく質含量が高い上、穀物では不足しがちな必須アミノ酸も非常にバランスよく含み、NASAの宇宙食に推奨されたほど。こしのある食感で、風味にコクがあり、味わいに深みがあります。

スーパーフードとして世界中で注目。

南米インカ帝国では、食料として重要な位置を占めていたといわれる。アメリカのNASA(航空宇宙局)が、「21世紀の主食になる」と発表したことで、世界中で広く知られるようになりました。カルシウム、鉄分などのミネラル、食物繊維を多く含んでいます。世界のセレブやスーパーモデルも食事に取り入れています。

とうもろこし

とうもろこしは品種が多く、私たちが食べているのはスイートコーンの一種。成分は糖質が主です。
ビタミンB1、B2を含みます。
ごはんに入れることで自然な甘さが味わえます。

黒ごま・白ごま

ごま科ごま属の一年生草本。原産地はアフリカのサバンナ地帯。栽培の歴史は古く、ナイル川の流域で、紀元前3千年以前から始まったとされ、中国では「食べる和漢」といわれる。植物性白米に比べ栄養価は高くごまのたんぱく質には必須アミノ酸(人間の体内で作り出すことのできないアミノ酸)がバランスよく含ます。カルシウム、鉄、リン、マグネシウム、亜鉛などミネラルも豊富に含まれています。