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麦茶は冷房による末端冷え性を予防する!?


35℃を超える猛暑日が当たり前になってきている日本の夏。熱中症対策のために冷房は欠かせませんが、一方で冷房による冷え性に悩まされている人も少なくありません。今回は、冷房による末端冷え性がもらたすからだへの悪影響や、末端冷え性を予防する効果的な方法について詳しく解説します。

男性も注意したい、冷房による末端冷え性

年々暑い日が増え、夏になると熱中症の警戒アラートが毎日のように繰り返されています。一般的に、室内の温度が28℃を超えると熱中症のリスクが高まるとされており、熱中症を防ぐには適度に冷房を使い、室内の温度を快適に保つことが大切です。

ただ、暑い外の環境から冷房が効いた室内に入ると、その瞬間は心地よさを感じますが、時間が経つにつれ肌寒さを感じることがあります。体温は自律神経の働きで一定に保たれていますが、室外と室内の温度差が8℃以上になると体温調節がうまくいかなくなることがあり*1、夏なのにからだが冷える「夏冷え」を起こす可能性があります。

夏冷えは、一般的に女性に多くみられる症状です。女性は男性と比べて筋肉量が少ないため、体内で熱を生み出す機能が弱く、からだが冷えてしまいやすいのです。実際に、快適に感じる室温には男女差があり、女性が快適に感じる室温は男性よりも高いという研究結果も報告されています *2。 また、ノースリーブやサンダルなど肌の露出が多い服装も、女性の夏冷えの要因となります。

冷え性がひどい人は寒さを強く感じる傾向があり、四肢の血管が収縮して血流が低下し、指先の温度が極端に下がります*3。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、自覚症状の中で「手足の冷え」が最も気になると回答した人の割合は年齢とともに増加し、男性でも年齢が上がるにつれて末端冷え性に悩む人が増えることが分かっています*4。冷え性は女性だけのものというわけではないのです。

その体調不良、もしかして末端冷え性が原因かも…?

末端冷え性は西洋医学では病気とはみなされず、特定の病気の症状として現れる場合を除き、治療は必要ないとされています。一方、東洋医学では手足の冷えは様々な病気を引き起こす要因であるとみなされ、積極的な治療が必要だと考えられています。

日本人の女性238名を対象にした研究によると、約85%の人が末端冷え性があり、手足の冷えが悪化するにつれて肩こりや倦怠感、腰痛、頭痛、鼻づまりなどの症状が悪化する傾向があると報告されています*5。また、末端冷え性がある人では変形性関節症や消化器系の病気(慢性胃炎、逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍)、慢性鼻炎などにかかる割合が高いという韓国の報告もあります6)。

こうした研究結果は、手足の冷えは様々な健康リスクを伴う可能性があり、末端冷え性の予防・改善は健康を維持する上で重要であることを示唆しています。特に冷房による冷え性は軽く考えてしまいがちですが、知らず知らずのうちに体調不良を引き起こしているかもしれないので、しっかり対策するよう心掛けたいところです。

麦茶を飲んで、夏の末端冷え性を予防しよう!

冷房による末端冷え性を防ぐには、エアコンの設定温度を上げたり、直接風が当たらないようにするなど、まずはエアコンの使い方を見直すことが大切です。デスクワークなどで冷房が効いた室内に長時間いなければいけない場合は、ひざ掛けや上着などを常備するようにしましょう。

からだの芯を冷やさないためには、食べ物や飲み物に気を付けることも大切です。夏の飲み物と言えば麦茶ですが、麦茶に含まれるシクロ(D-フェニルアラニン-L-プロリン)という成分には、血管を拡張させて血流を増やし、皮膚の温度を上昇させる作用があることが分かっています*7。

実際に、20歳以上の男女18人を対象に行われた研究によると、冷房が効いた部屋で麦茶またはプラセボ飲料(見た目や味を麦茶に似せた飲み物)を飲んだところ、麦茶を飲んだグループではプラセボ飲料を飲んだグループより足の皮膚温度の低下が抑えられたという結果が報告されています*8。

麦茶による末端冷え性の予防効果を最大限に高めるなら、温めて飲むホット麦茶がおすすめです。ノンカフェインの麦茶なら就寝前に飲んでも問題なく、妊婦さんの冷え対策にもぴったり。ホット麦茶は、アレンジが自在な点も魅力です。「カラダもココロもほっこり温まるホット麦茶の楽しみ方」で色々なホット麦茶の飲み方を紹介しているので、こちらも合わせてご覧ください。

*1 Chen C, et al.: Building and Environment 2011; 46: 2387-2397.
*2 Maykot JK, et al.: Sustainability 2022, 14, 9722.
*3 Nagashima K, et al.: J Appl Physiol (1985) 2002; 92: 1029-1035.
*4 厚生労働省: 2022(令和4)年 国民生活基礎調査
*5 Tsuboi S, et al.: Int J Womens Health 2019; 11: 31–39.
*6 Bae K, et al.: BMC Complement Altern Med 2018; 18: 40.
*7 Ashigai H, et al.: J Agric Food Chem 2018; 66: 1251-1257.
*8 Ashigai H, et al.: J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo) 2019; 65: 90-93.