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冬のからだをリセットするために“春の苦みを盛れ”


「春の皿には苦みを盛れ」という言い伝えがあります。動物は冬の間、体内に栄養を蓄えて厳しい寒さを乗り切ろうとします。これは、人間のからだも同じこと。気温が低くなると代謝が落ち、気温が高くなる春になると代謝が活発になって冬に溜め込んだ脂肪や老廃物などを一気にからだの外へ出そうとします。冬のからだから、春のからだへと変わる準備をするのです。そのときに助けとなるが、「苦み」のある食材。その代表となるのが、ふきのとうやうどなどの山菜です。

苦みの正体は美と健康の救世主「ポリフェノール」

山菜の特徴となる「苦み」とは、いったい何なのでしょうか? 代表的なのは、強い抗酸化作用があることで知られているポリフェノール類やカフェインの一種の植物性アルカロイドです。ポリフェノールは、細胞を破壊して老化の原因ともなる活性酸素を取り除き、酸化を防いで体のサビつきを防いでくれます。一方、植物性のアルカロイド類は、余分な老廃物をからだの外に出して、腎臓のろ過機能を向上させて胃腸を刺激し、活性化する働きがあるとされています。

この春に食べたいおすすめの山菜 

山うど

少し緑がかった山うどは、地下で軟化栽培した白うどよりもアクが強いのが特徴。このアクには、血流をよくして生活習慣病の予防が期待されるポリフェノールの一種ケルセチン酸などが含まれています。熱による損失も少なく、天ぷらなどの調理にも向いています。

こごみ

先端が渦巻き状をしたこごみ。ポリフェノールの一種で、アンチエイジングなどに効果があると注目されているクロロゲン酸を含んでいます。アクが少なく、食べやすいのが特長。渦巻状に丸まった幼葉を、おひたし、サラダ、ごまあえなどのあえもの、天ぷらなどで。

たらの芽

ほろ苦さとホクホクとした食感のたらの芽は、昔から胃を丈夫にして、肝機能を高めたり身体の血液循環をよくしたりする強壮作用があるといわれています。苦み成分のエラトサイドは、血糖値の上昇を抑制する作用があることがわかっています。おひたしやあえもの、天ぷらなどでどうぞ。

ふき

つぼみ部分の「ふきのとう」は、新春に天ぷらなどで食されます。この季節に食べる茎のように見える部分は、実は茎と葉の接続部分の「葉柄(ようへい)」。クロロゲン酸類とふき特有のポリフェノール「フキノール酸」は咳止めに使われていて、近年は花粉症への効果が期待されています。

食べ物によって心身の健康を養う「食養生」

昔から、雪がなくなると山菜採りに出かけ、天ぷらやあえもの、煮ものなど工夫を凝らして春の苦みを皿に盛っていた先達たち。まだ栄養学などがなかった時代から、経験知として理にかなった食べ方をして健康を養ってきたのです。季節を問わず同じ野菜が並んでいることに違和感がなくなった現代ですが、その季節に摂りたい栄養素がたくさん詰まっている「旬」の食べものは現代人にとってもありがたいもの。こうした食べものによって心身の健康を養う「食養生」という考え方を、大切にしていきたいですね。