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IQや記憶力を高めたいなら、朝食のGIに着目!


からだや脳にエネルギーを供給し、活動モードに切り替える上で欠かせない朝食。しかし、若い世代では朝食を欠食する人が多く、子どもの朝食欠食率も増加傾向にあります。子どもにとって朝食の重要性は高く、朝食は学校の成績や運動能力に関係していると言われています。さらに、朝食はその内容も大切であり、主食の種類が脳の発達に影響する可能性があることも分かってきています。

朝食習慣がある子どもは学力や体力が高い

文部科学省が全国の小中学生を対象に行った調査によると、朝食を欠食する人と比べて朝食を毎日食べる人では学力テストの点数が高い傾向が認められています*1。また、スポーツ庁が小中学生を対象に行った調査では、朝食を毎日食べる人のほうが体力テストの総合得点が高いと報告されています*2。学力や体力を高めたいなら、勉強や運動に力を入れるのはもちろん、朝食に着目することも大切だと言えそうです。

朝食を食べない理由として多いのが、「食べる時間がない」「食欲がない」というものです。就寝時刻が遅く、朝の食欲がない子どもほど朝食を食べる日が少ない傾向にあるため*3、朝食習慣を身に付けるには、まず生活リズムを整えることが大切です。生活が夜型化すると朝食習慣が不規則になり、授業中の眠気やイライラ感が増すことも分かっています*4。

IQが高いのはパン派よりごはん派!?

子どもの成長にとってプラスにはたらく朝食ですが、成績アップを目指すならどんな朝食を摂ればいいのでしょう? 実際に、5~18歳の子どもたちを対象として、朝食の主食の種類と脳の発達との関係を調べた研究があります。その研究によると、朝食にパンを食べることが多い人と比べてごはんを食べることが多い人では、神経細胞が集まる脳の灰白質(かいはくしつ)という部分が発達していることが明らかになりました*5。さらに、ごはん食の人はパン食の人よりも見て記憶したり判断したりする能力(知覚統合指標)が高く、総合的な知的能力(全検査IQ)も高い傾向にあるという結果が示されました*5。

炭水化物の多い主食は、脳の主要なエネルギー源であるブドウ糖の供給源です。ごはんとパンはどちらも炭水化物を多く含んでいますが、食後の血糖値の上昇度合い(グリセミック・インデックス:GI値)が異なります。ごはんのGI値は精白パンより低い傾向があり*6、食後の血糖値の変動がおだやかになるため、長い時間安定して脳にブドウ糖が供給されます。このことが、ごはん食の人で脳の発達がみられた要因の1つと考えられています。

麦ごはんを取り入れて、朝食を低GIに!

12~14歳の子どもを対象とした別の研究では、高GIの朝食と比べ、低GIの朝食を食べたときのほうが記憶力や注意力などを調べる認知機能テストの結果がよかったと報告されています*7。朝食ではからだや脳に必要なエネルギーをしっかり補うことが最も大切ですが、朝食のチカラをより引き出すには、GI値にも着目するとよさそうです。

大麦は小麦や米などと比べてGI値が非常に低く、主食に取り入れれば朝食のGI値を低く抑えることができます。おすすめの食べ方は、白米に大麦を混ぜて炊くだけで簡単に作れる麦ごはん。作り方は「じつはとっても簡単!麦ごはんの炊き方」で詳しく紹介しているので、合わせてご覧ください。

■おもな穀類のGI値

●コーンフレーク   81
●精白パン*     75
●全粒粉パン    74
●白米ごはん*    73
●玄米ごはん    68
●30%麦ごはん   64
●うどん(ゆで)  55
●50%麦ごはん   54
●スパゲッティ(ゆで) 49
●100%大麦(炊飯) 39
*低GIの種類もある

【出典】麦ごはん:青江誠一郎ら: 日本栄養・食糧学会誌 2018; 71: 283-288.その他の食品:Atkinson FS, et al.: Diabetes Care 2008; 31: 2281-2283.

*1 文部科学省 国立教育政策研究所: 平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査報告書, 2019.
*2 スポーツ庁: 令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査報告書, 2019.
*3 春木敏ら: 日本公衆衛生雑誌 2005; 52: 235-245.
*4 田村典久ら: 小児保健研究 2013; 72: 352-362.
*5 Taki Y, et al.: PLoS One 2010; 5: e15213.
*6 Matsuo T, et al.: Asia Pac J Clin Nutr 1999; 8: 190-194.
*7 Cooper SB, et al.: Br J Nutr 2012; 107: 1823-1832.