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有機酸たっぷり!大麦黒酢で夏バテ解消、疲れ知らずに


いよいよ夏本番。猛暑が続くこの季節は、気温が高い屋外とエアコンが効いて涼しい室内との温度差が大きく、自律神経が乱れやすくなります。倦怠感や胃腸の疲れ、食欲不振など、夏バテ症状に悩む方も多いかもしれません。そんな時こそ、食欲を増し、疲労回復にも役立つ「お酢」を食卓に取り入れてはいかがでしょうか。

お酢の成分は食欲増進や疲労回復にも効果大⁉

お酢は夏バテに効くといわれています。その理由は、お酢が「酸っぱい」ことと関係があります。梅干しなど、酸っぱいものを食べると唾液が分泌されますが、同じように、お酢を摂ることで唾液や胃液が分泌されて食欲が増し、消化・吸収を助ける役割があります。
また、疲労回復効果も注目されています。筋肉のグリコーゲンが減ると"疲労"を招きますが、糖分と一緒にお酢をとることで、筋肉中の活力源であるグリコーゲンを増やすことができ、疲労回復につながるといわれています。

こうしたお酢の健康効果に関する研究はいろいろと行われており、効果の解明が期待されています。

大麦のみを原材料とした大麦黒酢

ひと口にお酢といっても、原材料や製造方法によって種類も味わいもさまざま。食品表示基準によると、食酢(食用のお酢)のうち、家庭用のほとんどは醸造酢です。また、醸造酢には穀類を主原料としたお酢と、りんご酢・ぶどう酢などの果汁を主原料としたお酢があります。
さらに、穀類から造られるお酢は、何種類かに分類されています。スーパーなどでよく見かける“穀物酢”は、米、小麦、大麦、とうもろこしなどの穀物を1~2種以上バランスよくブレンドしたもの。それ以外にも米酢や黒酢があり、黒酢には米黒酢と大麦黒酢があります。

大麦麦芽をじっくり発酵・熟成させて生まれる大麦黒酢

原料の違いによって、さまざまな種類があるお酢。大麦を主原料としたお酢として有名なのが、イギリスの家庭に欠かせない「モルトビネガー」です。大麦麦芽(モルト)と小麦やとうもろこしなどで造るお酢で、イギリスの代表的な料理「フィッシュ&チップス」は、塩とモルトビネガーをかけて食べるのが一般的です。
一方日本でも、大麦を主役にしたお酢があります。それが「大麦黒酢」。黒酢は琥珀色や黒色など、ほかのお酢と色が違いますが、その色のもととなるのがアミノ酸と糖分です。長い時間をかけて熟成させ、アミノ酸と糖が化学反応を起こすことで、液体が深みのある色へと変わっていきます。中でも、大麦黒酢は大麦のみを原料として熟成させたもので、多くのアミノ酸を含んでいます。また、独特の香ばしくて甘い香りとコクのあるまろやかな味わいが特長です。

大麦黒酢の製造方法
食酢は、お酒に含まれるアルコールが酢酸に変化してできる発酵食品。まず、原料の穀物に含まれるでんぷんを”糖“に分解してアルコール発酵させ、お酢のもととなるお酒を造ります。さらに、それを酢酸発酵させると、お酢ができ上がります。大麦黒酢は麦芽(大麦を発芽させ、高温で乾燥させたもの)から造られる”麦芽酢“です。大麦黒酢の造り方について、全国食酢協会中央会に伺いました。

① 酒精発酵(酢のもとになる酒を造る)
麦芽からお酒を造る方法はさまざま。一例として、まず乾燥した麦芽に65度前後のお湯を加えます。すると、麦芽に含まれた多量の酵素(アミラーゼ)の働きによって、でんぷんが分解されて糖分に変わります。この麦芽汁をろ過し、「麦芽汁」と「麦芽かす」に分けます。麦芽かすを洗浄した水を麦芽汁に加えます。さらに、酵母を加えて26~30度で発酵させると、およそ5日間で糖分がアルコールになり、酒のもと(もろみ)ができます。

② 酢酸発酵(酢に変える)
①のもろみに対して、約3~5割の“種酢”を加えます。種酢とは、アルコールから酢酸に変えるために欠かせない酢酸菌や酢酸発酵が終わった食酢の一部のこと。これを新しい食酢の仕込みに使います。この種酢を混ぜたら38~40度に加温し、発酵槽に入れて種酢の中の酢酸菌の力で発酵させます。残留アルコール分が0.3~0.4%程度になったら発酵完了です。

③ 熟成
②でできた食酢を貯蔵タンクで1~2ヶ月ほど寝かして熟成させることで、酢酸特有の刺激臭がなくなり、香味が増してまろやかな味になります。季節によって発酵期間が多少異なるものの、熟成後およそ2~3ヶ月で大麦黒酢のでき上がりです。

④ ろ過・殺菌・ビン詰め
熟成したら、ろ過して濁りを取り除き、透明な液にします。味や香りが損なわれないように70度前後で24秒ほど殺菌して、ビン詰めをします。

お酢ドリンクは原液を避け、約5~10倍に薄めて

大麦黒酢は酸味や口あたりがマイルドで、使いやすいお酢です。日々の料理に活用するもよし、ドリンクに加えて飲むのもおすすめです。ドリンクとして飲む場合は、一日の摂取量は15ml(大さじ1)程度が目安。ただし、お酢は酸性で刺激が強いため、原液のまま飲むと、胃や食道などに負担がかかるので要注意です。約5~10倍に薄め、空腹時を避けて飲みましょう。水やお湯で薄めて飲むと、大麦黒酢のシンプルな味わいが楽しめます。また、炭酸水で割ると、シュワっと爽やかな黒酢ソーダに。その他、お好みで牛乳、豆乳、オレンジジュースなどで割ってもおいしくいただけます。大さじ1程度のはちみつを加えると、ほんのり甘味が増して、より飲みやすいドリンクになります。この夏は、オリジナル大麦黒酢レシピを楽しんではいかがでしょうか。お酢の力で、すっきり暑い夏を乗り切りましょう。