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日本の風土で育つ大麦の一年


麦と米は同じ場所で育てられる

米どころといえば、新潟や山形、宮城、小麦なら北海道など、一大産地がパッと思い浮かびますね。では、大麦はどこで育てられているかご存知ですか?

日本では、夏は稲、冬は麦というように「二毛作」が行われてきました。大麦は、もっぱら米の裏作として作られる作物で、秋に米の収穫が終わるとその田を耕して麦を植え、夏の暑さがやって来る前に収穫。そして稲を植えるというように、限られた農地を効率的に利用してきたのです。2年周期で「米→大麦→大豆」の3つを作る「二年三作」を行うところも多いようです。田んぼは「水田」というだけあって水を保持しやすく、同じ土地を利用して大麦を育てるためには、排水パイプを埋め込むなどの排水対策を行うこともあるようです。

大麦には、主食用、ビール用、麦茶用などたくさんの品種があり、それぞれおもな生産地が異なります。ビール用の二条大麦は佐賀県や栃木県、麦茶・食用の六条大麦は富山県や福井県、醸造用のはだか麦は愛媛県や香川県などで多く作られています。

秋に種を播き、寒さを越えて初夏に登熟

地域によって前後はありますが、大麦の種まきを行うのは11月頃。種をまいて5~6日で発芽し、冬の間はゆっくりと成長します。1月~2月頃の厳寒期には、霜の害を防いで根をしっかりはらせ、耐寒性を高めるために麦踏みを行います。大地が芽吹きの季節を迎える4月になると大麦は出穂し始め、穂が出て5~6日で開花します。穂が黄金色に色づく登熟は、5月上旬~中旬頃。夏の季語「麦秋(麦の秋)」はこの様子を表しています。収穫期は6月頃。湿気が苦手な大麦を雨に当てないよう、収穫作業は梅雨空とにらめっこで行われます。

*産地によって栽培時期や方法は異なります。