ホーム大麦百科/知っているようで知らない大麦と小麦の違い

知っているようで知らない大麦と小麦の違い


大麦と小麦の見た目の違いは穂のヒゲの長さ

麦の粒が大きいのが大麦で、小さいのが小麦?そんなイメージがありますが、「大麦」「小麦」という名前は、実は粒の大きさとは無関係です。名前の由来は諸説あり、一説には大麦の葉は小麦よりやや短いものの幅が広く、発芽したての段階では大麦のほうが大柄に見えるため、「大麦」「小麦」の呼名がついたといわれています。また、両者の違いは、背丈や葉の幅よりも穂から出ているひげのような突起の「禾(芒/のぎ)」に現れており、禾が長く穂よりも上に出ているものが大麦、短くて不揃いなのが小麦ともいわれています。しかし品種によっては大麦でも禾が短いものもあるため必ずしもそうとは言えず、穂の子実が上から見て対角線上に並んでいるのが大麦であると見分けるのが良さそうです。

麦ごはんを小麦で作るとパサパサに

大麦と小麦は栄養成分もよく似ていますが、用途はまったく異なります。たとえば、麦ごはんといえばもっぱら大麦を使い、逆にパンや麺の多くは小麦で作られます。では、逆にしたらどうなるのでしょうか。小麦で麦ごはんを作り、大麦の粉でパンを焼くという実験を行ったところ、大麦パンは硬くてひび割れを起こしてしまいました。一方の小麦ごはんは、パサパサでおいしくありませんでした。この違いが、たんぱく質の違いなのです。小麦のたんぱく質は「グルテン」。粘り気があり、パンをふんわりと膨らませ、麺にはコシを出します。一方、大麦に含まれるのは「ホルデイン」というたんぱく質。粘り気はありませんが、大麦は小麦に比べ吸水性があるのが特徴です。そのため、小麦粉で作るパンはふんわりと膨らみ、大麦を使った麦ごはんはお米と一緒に炊いてもふっくらとおいしく仕上がるのです。しかし、今は大麦の製粉技術や加工方法の研究が進み、グルテンの違いを乗り越えて大麦でもおいしいパンや麺が作れるようになりました。

なお、小麦アレルギーの原因物質はグルテンですが、大麦のたんぱく質ホルデインと非常によく似た分子構造をしています。そのため、稀に大麦でもアレルギー反応を起こしてしまうことがあります。小麦アレルギーがある方は、注意をしてください。