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大麦を飾って楽しむ!今、話題の「花麦」とは?


「花麦(はなむぎ)」という言葉をご存じですか?「花麦」とは、食用とは別にもっぱら観賞用に栽培されている大麦を指す呼称で、近年、切り花をフラワーアレンジメントや生け花などに好んで使う人が増えています。今回はその人気の秘密を探ります。

「花麦」はなぜ小麦ではなく、大麦なのか?

大麦が「花麦」として使われる理由は、見た目の特徴にあります。大麦の穂から出ているヒゲのような突起の部分「禾(芒/のぎ)」が小麦のそれよりもピーンと長く、すっきり整然と上向きに伸びているため、生けたときの華やかさ・見栄えのよさがあります。

「花麦」は特定の品種名ではありません。六条大麦や二条大麦などの中から穂や葉が特にきれいな系統を選抜して育成したものや、穂が出たばかりの若い大麦などが、「花麦」の名で出荷されます。生花市場に出回るのは、食用大麦の収穫シーズン(5〜6月)よりもだいぶ早い、12月頃から4月上旬にかけて。静岡県の西伊豆地方や和歌山県などが「花麦」の生産地として有名ですが、これは黒潮の影響で冬でも温暖な気候が栽培に適しているため。生産地によっては、冬に穂が出てくる寒咲早生麦(かんざきわせむぎ)の系統種をハウスや電照で栽培しているところもあります。

主役の花々を引き立て、アレンジは自由自在

スッと伸びた茎の先に若葉色の穂をつける「花麦」は、新春や早春に似つかわしい、初々しさと生命力を感じさせます。そんなイメージが好まれてか、特にお正月やひな祭りを彩るフラワーアレンジメントや生け花の素材としてとても人気があり、冬から早春にかけて需要がピークに。例えば、クリスマスリースや正月飾りに花麦を添えたり、また、ひな祭りのフラワーアレンジメントには菱餅の色と合わせて桃の花(ピンク)と菜の花(黄色)に花麦(緑)を組み合わせたりします。

人気の秘密は他にもあります。1本が比較的安価でまとめ買いしやすく、生けたときにボリューム感を演出できること。長い草丈をそのまま生かしたり、茎をカットして穂先だけを使ったりすることで、立体感や高低差をいかようにもアレンジできること。そして、ナチュラルなグリーンだから、どんな花色と組み合わせてもでしゃばらず、主役の花々の魅力をぐっと引き立ててくれます。まさに名脇役です。

アレンジの際の注意点も覚えておきましょう。まず「花麦」は茎が空洞でやわらかいので、切れ味のよいハサミでカットすること。草丈の長いまま花瓶に生けたり、剣山に挿したりする場合は、折れ曲がらないように風の当たらない場所に飾るようにしてください。また、切り花の「花麦」は生花よりも寿命が長く、一週間程度は日持ちしますが、葉は黄ばみやすいので、使う前に葉だけを取り除いておくと見栄えのよさを保つことができます。

大麦(花麦)の花言葉は、縁起のよさが揃い踏み

花麦の花言葉は、「富」「裕福」「繁栄」「希望」。古くから収穫の象徴とされていて、縁起のよい言葉がてんこもりです。大麦という植物は、縁起よし、食べてよし、飾ってもよし。暮らしに潤いと彩りを加えてくれるアイテムとして花々とともに飾り、その美しさを愛でてみませんか。