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小麦アレルギーの人は大麦を食べてもアレルギー症状が出る?


小麦アレルギーの原因は「グルテン」

同じイネ科の小麦と大麦、見た目はよく似ていますが性質はずいぶん違います 。小麦は、粉にして水でこねると出てくる強い弾力性を利用して、パンやうどんに。大麦は、吸水性の高さを利用して、粒のまま炊いたり茹でたりして食します 。

小麦は、卵、牛乳に次ぐ日本人の3大アレルゲン食品のひとつですが、小麦アレルギーの原因物質は、小麦ならではの弾力性を生み出す「グルテン」です。小麦には種々のたんぱく質が含まれていますが、その8割以上が「グリアジン」と「グルテ二ン 」というふたつのたんぱく質で占められています。グルテンは、小麦粉を水でこねることで、このふたつのたんぱく質が絡み合って生成します。「グリアジン」は、テニスのジョコビッチ選手で有名になった小麦の不耐症「セリアック病」の原因のひとつとしても挙げられています*1。

小麦と大麦のたんぱく質は構造が似ている

一方、大麦は粉にしてこねても、グルテンはほとんどできません。大麦の主要なたんぱく質は「グルテリン」と「ホルデイン」。小麦に含まれるタンパク質とは組成が違うからです。それなら小麦アレルギーの人でも大麦なら食べて大丈夫かというと、残念ながら一概にOKとはいえません。大麦のたんぱく質の一部に小麦と似た分子構造のたんぱく質があるため、小麦アレルギーの人が大麦を食べた際にアレルギー反応を起こしてしまうことがあるからです。これを「交差抗原性(こうさこうげんせい)」といいます。交差抗原性には個人差があるため、小麦アレルギーの人でも、 大麦を食べても大丈夫な人と、そうでない人がいます。大麦を食べても大丈夫かどうかは、一度専門医に相談をしてみると安心です。

大麦を使っている可能性のある食品を知っておきましょう

日本では、アレルギー表示対象品目として、えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生は原材料名の記載が義務づけられています。さらに表示が推奨される20品目もありますが、その中にも大麦は含まれていません 。そのため大麦を使っていることに気づきにくい食品がありますので、小麦アレルギーの人は注意してみてください。

●大麦の使用が想定される食品 (一部)

ビール(麦芽を使用)
ウイスキー、ジン、ウォッカなどのスピリッツ類
麦焼酎、芋焼酎(麦麹を使っているもの)
梅酒(スピリッツが原材料に含まれるもの)
麦茶
麦芽糖を使った和菓子 など

*1 McManus R, et al. : N Engl J Med. 2003; 348: 2573-2574