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集中力や生産性の向上を目指す!タイパを高める食事術


近年、Z世代を中心に広がっている「タイムパフォーマンス(タイパ)」という概念。子育て世代や働き盛りのビジネスパーソンにとっても、タイパを高めることが重要視されつつあります。タイパを高める工夫には様々なものがありますが、今回は研究結果をもとに、タイパを高める食事術について詳しく解説します。

タイムパフォーマンス(タイパ)を高める方法とは?

タイパとは、タイムパフォーマンスの略で、使った時間に対する満足度の高さを表す言葉です。自分が価値を感じることや優先したいことに時間を使うためにタイパを意識して行動するという人が、近年増加しています。特に多忙なビジネスパーソンにとって、仕事のタイパを高めることは重要な指針となりつつあります。

仕事のタイパを高めるコツは、集中して効率よく仕事を行えるような工夫をすることです。例えば、業務に優先順位を付ける、業務管理を効率化するITツールを活用する、仕事に集中できる環境を整える、などの方法があります。

これらは業務時間内に行う工夫ですが、日常生活の中でできる工夫もあります。それは、食事などのライフスタイルを改善することです。生活の質や心身の健康状態は、集中力や仕事の生産性に影響を与えます。そのため、健康的なライフスタイルを送ることが、間接的にタイパの向上につながるのです。

集中力を高めるには、低GIの麦ごはんがおすすめ

脳をきちんと働かせタイパを高めるには、脳のエネルギー源となる糖質が必要です。けれど、糖質を一度にたくさん摂ると、血糖値を下げる働きをするインスリンというホルモンが大量に分泌され、食後に上昇した血糖値が急激に低下してしまいます。脳のパフォーマンスを高く維持するには、血糖値の変動が少なく、脳に安定してエネルギーを供給できる状態であることが大切です。

血糖値を安定させるポイントは、食事のとり方にあります。朝食を抜いて昼食で糖質をたっぷり摂るといった食事をしていると、昼食後に血糖値が大きく変動し、集中力が低下しかねません。朝食は1日の血糖値を安定化させる上で重要な食事なので*1、欠食せずしっかりとるようにしましょう。

食後の血糖値の上昇度合いを表す指標をグリセミック・インデックス(GI)といいますが、朝食や昼食の主食にはできるだけ血糖値を上げにくい低GI食品を選ぶことも大切です。実際に、昼食の主食にGIの低い黄えんどう豆でできた麺を食べた場合、食パンや白米などの高GI食品を食べた場合と比べて食後の集中力の低下が抑えられ、仕事のパフォーマンスが向上したという研究結果が報告されています*2, 3。

主食となる穀類の中でも大麦はGIが低く、入手しやすい食品なので、タイパを重視するビジネスパーソンにはぴったり。手軽に取り入れるなら、白米と大麦を混ぜて炊く麦ごはんがおすすめです。

植物性食品で心身を健康に保ち、生産性を上げる

心身の不調を抱えた状態で仕事をしていると、当然生産性は低くなってしまいますが、こうした問題を抱えている人は少なくないといわれています。その背景には、強いストレスや人間関係の悪化、生活習慣の乱れなど様々な要因があります。心身の不調をもたらす要因をできるかぎり排除することが重要ですが、それが難しい場合は、食事を工夫することから始めるとよいかもしれません。

大学や医療センターで働く従業員とその家族71人を対象にした研究によると、野菜や果物、豆類、全粒穀物などの植物性食品が豊富な食事を6カ月間続けてもらったところ、日を追うごとに睡眠の改善や抑うつ気分の軽減が認められ、健康的な食事を続けている期間はよい状態が維持されたと報告されています*4。また、同じ研究者による別の研究では、こうした食事によって生活の質の向上も認められました*5。

心身を健康に保ち、仕事の生産性を高めたいなら、いつもの食事にできるだけ植物性食品を取り入れるとよいでしょう。おすすめは、低GIの麦ごはんを主食とした野菜たっぷりの和食。冷めてもおいしく食べられる麦ごはんは、お弁当にもぴったりです。麦ごはんの作り方は「じつはとっても簡単!麦ごはんの炊き方」で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

*1 Jakubowicz D, et al.: Diabetes Care 2015; 38: 1820-1826.
*2 Sumali B, et al.: Front Nutr 2022; 9: 807350.
*3 Yoshimoto J, et al.: Nutrients 2020; 12: 1839.
*4 Sutliffe JT, J Nutr Metab 2019; 2019: 2609516.
*5 Sutliffe JT, et al.: J Nutr Metab 2018; 2018: 8187203.