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腸活にもいい!?スパイスカレーの健康効果とは


老若男女から愛され、日本の国民食とも言われるカレー。最近は、スパイスにこだわったスパイスカレーがブームになっています。カレーに使われるスパイスは20~30種類ほどありますが、抗酸化作用や薬理作用などの効果を持つものが多く、カレーは美味しいうえに健康にもいいことが分かっています。今回は、様々な研究によって明らかになってきたカレーの健康効果について解説します。

カレーのスパイスが持つ抗酸化作用

カレーに使われるスパイスには、それぞれ香りや色、辛味を付ける役割があります。香り付けに使われるものとして、クミンやカルダモン、コリアンダー、シナモン、ナツメグ、クローブなどが挙げられます。色付けに使われるターメリックはカレーに欠かせないスパイスで、鮮やかな黄色が特徴です。辛味を加えるスパイスには、トウガラシやショウガ、コショウなどがあります。

スパイスにはポリフェノールが含まれており、様々なスパイスを混ぜて作られたカレー粉には高い抗酸化作用があることが分かっています*1。酸化ストレスは生活習慣病や認知症などの病気の発症に関わっているとされており、抗酸化作用のある食品を摂ることが酸化ストレスからからだを守ることにつながります。

実際に、健康な人を対象にカレーの抗酸化作用を調べた研究によると、カレーを食べた場合では食後の酸化ストレスが抑えられ、スパイスが多いほどその効果が顕著だったと報告されています*2。

様々な健康効果をもたらすクルクミン

カレーに使われるスパイスの中で、その効果がもっとも研究されているのがターメリックです。ターメリックはウコンとも呼ばれ、クルクミンというポリフェノールを含んでいます。このクルクミンには様々な作用があり、カレーの健康効果の大部分がクルクミンによるものと考えられています。

クルクミンには抗炎症作用があり、慢性的な炎症が関与していると言われる2型糖尿病や肥満、動脈硬化などの病気に対する効果が広く研究されています*3。例えば、BMI25以上でメタボリックシンドロームと診断された人を対象とした研究では、クルクミンを30日間摂取したところ、ライフスタイルの改善を継続したうえでクルクミンを30日間摂取したところ、体重や体脂肪、ウエストの減少率が向上したと報告されています*4。また、肥満者を対象とした別の研究によると、30日間のクルクミン摂取によって血中の中性脂肪が低下することが分かっています*5。

クルクミンは、酸化ストレスや炎症が発症に関係している認知症やうつ病などの神経疾患にも効果をもたらす可能性があります*3,6。カレーを食べる頻度と認知機能との関連を調べた研究では、カレーをよく食べる高齢者のほうが認知機能が高いと報告されています*7。

カレー×麦ごはんで効果的な腸活を!

最近の研究では、スパイスを多く使ったカレーを食べるとビフィズス菌の数が増加するという結果が報告されています*8。赤ワインやブルーベリー、さくらんぼなどのポリフェノールが豊富な食品を摂るとビフィズス菌が増加すると報告されていることから、この効果はカレー粉のポリフェノールによるものだと考えられます。また、カレーに含まれるクルクミンには腸のバリア機能を高める可能性があるという報告もあります*9。カレーは腸内環境を整え、腸を健康に保つのに役立つ料理と言えそうです。

腸内の有用菌を増やすには、有用菌のエサになる水溶性食物繊維を摂るのも効果的です。大麦にはβ-グルカンと呼ばれる水溶性食物繊維がたっぷり含まれており、腸内環境の改善に役立ちます。腸にいいカレーと麦ごはんを組み合わせた麦ごはんカレーは、腸活にぴったりのメニューです。「麦ごはんの炊き方」で紹介しているように、麦ごはんの作り方はとても簡単。次にカレーを作るなら、ぜひ麦ごはんにしてみてはいかがでしょう。

*1 藤江歩巳ら: 日本調理科学会誌 2004; 37: 320-324.
*2 Haldar S, et al.: Front Physiol 2018; 9: 1899.
*3 Kunnumakkara AB, et al.: Br J Pharmacol 2017; 174: 1325–1348.
*4 Pierro FD, et al.: Eur Rev Med Pharmacol Sci 2015; 19: 4195-4202.
*5 Mohammadi A, et al.: Phytother Res 2013; 27: 374-379.
*6 Reddy PH, et al.: J Alzheimers Dis 2018; 61: 843–866.
*7 Ng TP, et al.: Am J Epidemiol 2006; 164: 898-906.
*8 Khine WWT, et al.: Sci Rep 2021; 11: 11264.
*9 Ghosh SS, et al.: Tissue Barriers 2018; 6: e1425085.