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『時間栄養学』が教えるスマートな食べ方


「何をどのぐらい食べるのか?」は、健康管理やダイエットをするうえでとても大切なことですが、最近はこれに加えて「いつ食べるのか」も重要であることがわかってきました。人間の体に備わるリズムと食事の取り方との関わりを探る『時間栄養学』に基づく、賢い食べ方をご紹介します。

「いつ食べるのか」を考える『時間栄養学』

私たちの体の中には、身体の機能を一定のリズムでコントロールする「体内時計」が備わっています。たとえば、朝起きる少し前には血糖値を上げるホルモンが分泌されて血糖値が上昇し、血圧や体温、心拍数も上がって活動態勢に入ります。一方、夜になると睡眠を促すホルモンによって眠くなり、休む態勢に入ります。こういったリズムをコントロールしているのが「体内時計」であり、栄養の代謝にも大きく関わっています。『時間栄養学』は、この体内時計を考慮した栄養学のことです。

朝ごはんをしっかり食べて、体内時計をリセット

1日は24時間ですが、人間の体内時計はそれよりも少し長い24.5時間で動いているとされています*1。そのままでは少しずつずれることになり、いずれは昼夜が逆転してしまいます。そのため、体の中では毎日体内時計をリセットする必要があります。それに有効なのが、朝の光と朝食。朝、太陽を浴びて食事をすることで、体内時計は新たな1日を刻みはじめます。ちなみに、不規則な生活や朝食を抜くことで体内時計が乱れることが、肥満のリスク要因になるという報告もあります*1。また、食事を取ることで消費されるエネルギー「食事誘導性エネルギー発生」は、夜に比べ朝は4倍発生するとされています*2。人間の体は、日中は摂り込んだ栄養をエネルギーに変えて活動しやすい状態にし、夜は脂肪を蓄えるようになっているのです*2。「夜食は太る」といわれるのは、このためです。

“夜どっさり”をやめて、3:3:4の配分で

具体的には、どのように食べればいいのでしょうか。『時間栄養学』では、「栄養バランスのよい朝食を必ず食べて、3食のカロリー(熱量)配分は朝:昼:夕=3:3:4」が望ましく、夕食が21時を過ぎるようなときは1食を分ける「分食」をすすめています*2。たとえば、夕食の主食(炭水化物)分は夕方におにぎりなどで摂り、夜帰ってからは野菜中心のおかずを食べるというものです。

さらに、栄養素やホルモンなどの働き方を考えることで、よりよい食べ方の工夫ができます。たとえば、甘いものを控えている人がお菓子を食べるなら肥満を促進する時計遺伝子(体内時計をつかさどる遺伝子)が少ない昼間が望ましいとされています*2。あるいは、骨粗しょう症予防にカルシウムを摂るなら、就寝直後に成長ホルモンが分泌されるので、夕食がいいともいわれています*2。

『時間栄養学』を知ることで、今までよりも効率的にダイエットや健康管理を行うことができるのです。

参考)
*1 日本家政学会誌;63, 6, 337-341, 2012
*2 体力科学;63, 1, 4, 2014