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冷えや食べ過ぎで疲れたからだに。しょうがのススメ


風邪のひき始めには「しょうが湯」、冷え対策には「しょうが紅茶」と言われるように、からだにいい食材であることが広く認知されているしょうが。食材としてだけではなく、しょうがは生薬としても利用されており、胃腸の不調や冷えなどを改善する漢方に配合されています。冬の時期に気になる冷えや正月太りの解消に役立つ、しょうがの様々な効能をご紹介します。

代謝を活発にし、からだを芯から温める

独特の辛味を持つしょうがには、様々な辛味成分が含まれています。その代表的な成分がジンゲロールとショウガオールです。いずれの成分にもアドレナリンの分泌を増加させ、体内で熱を生み出す作用がありますが、ショウガオールのほうがその作用が強いとされています*1,2。実際に、冷え性の女性を対象にしょうがの効果を検証した研究によると、しょうがを摂取した場合では摂取しなかったときよりも代謝が活発になり、エネルギーの消費量が高まったと報告されています*3。冷え性の改善には、手足や首筋の防寒対策をしっかりしつつ、しょうがでからだを芯から温めるのがよさそうです。

ダイエットや脂質対策にも役立つしょうが

冬場は冷えだけでなく、年末年始の食べ過ぎによる正月太りも気になる季節です。実は近年の様々な研究結果から、しょうがはダイエットにも効果的な食材である可能性が示されています。しょうがの辛味成分であるジンゲロールやショウガオールには、代謝を活発にして熱を生み出すだけでなく、脂肪の蓄積を抑制したり、脂肪の分解を促進したりする作用があることが分かってきているのです*4。肥満の女性に12週間にわたってしょうがパウダーを1日2g摂取してもらったところ、BMI(ボディマス指数)が大きく減少したという報告もあります*5。

また、しょうがには血液中の中性脂肪やLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)を低下させる作用があることも、複数の研究結果の分析から明らかになっています*6。食事にしょうがを取り入れることが、食べ過ぎや運動不足によって引き起こされる脂質異常の予防につながると期待されます。

年末年始に疲れた胃を優しくサポート

忘年会や新年会が続く年末年始はいつも以上に胃が疲れがちですが、そんなときにもしょうがはおすすめの食材です。しょうがに含まれるジンゲロールやショウガオールには、胃の運動を活発にする作用があることが知られています*7。また、米国産科婦人科学会が妊娠中のつわり対策としてしょうがの有用性を認めているように、しょうがには吐き気や嘔吐の症状を軽減させる効果もあります*7。

しょうがのチカラをより引き出すには、温かい料理や飲み物に加えるのが効果的。冷えや食べ過ぎで胃が弱っていると感じたら、しょうがをたっぷり使ったスープにしてみてはいかがでしょう。ゆでた押麦を加えた鶏団子入りのスープなら、胃をいたわりながらたんぱく質や食物繊維などの栄養素をしっかり摂ることができます。作り方は「おいしい大麦レシピ〈腹持ち良く身体が芯から温まる押麦入り鶏団子の養生スープ〉」で紹介しているので、ぜひご覧ください。

*1 Iwasaki Y, et al.: Nutr Neurosci 2006; 9: 169-178.
*2 Ali BH, et al.: Food Chem Toxicol 2008; 46: 409-420.
*3 夏野豊樹ら: 人間工学 2009; 45: 236-241.
*4 Ebrahimzadeh Attari V, et al.: Phytother Res 2018; 32: 577-585.
*5 Ebrahimzadeh Attari V, et al.: Eur J Nutr 2016; 55: 2129-2136.
*6 Pourmasoumi M, et al.: Phytomedicine 2018; 43: 28-36.
*7 Nikkhah Bodagh M, et al.: Food Sci Nutr 2018; 7: 96-108.