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病気のリスクを下げる!? 知っておきたい果物のチカラ


日本ではお菓子やジュースなどと同じ位置づけにある果物。野菜と違って、健康のために果物を食べる人は多くないかもしれません。実際に、20~40歳代の半数以上は果物を食べる習慣がまったくないというデータも*1。しかし最近の研究から、果物は野菜に劣らずカラダに様々なメリットをもたらすチカラを秘めていることが分かってきています。

高血圧や動脈硬化に対する果物の可能性

動脈硬化を進行させ、心臓病や脳卒中などを引き起こす要因となる高血圧。自覚症状がないため、”サイレントキラー”とも呼ばれています。実は、野菜と同じようにビタミン類やミネラル類が豊富な果物には、高血圧を予防する可能性があるのです。延べ18万人以上のアメリカ人を解析対象とした研究によると、あまり果物を食べない人に比べて、毎日たくさん果物を食べる人では高血圧になるリスクが低いことが明らかになっています*2。さらに、アジアを含む世界各国で行われた複数の研究を総合的に解析した研究では、果物の摂取量が1日200g増えると心臓病や脳卒中のリスクが10%以上低くなることも報告されています*3。

医師が参考にするガイドラインでも果物を推奨

あまり知られていませんが、医師が診療のうえで参考にする『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版』にも果物の摂取を推奨する内容が記載されています。果物の摂取量が多いほど動脈硬化による病気のリスクが低いという研究結果があるとして、ガイドラインでは果物の適度な摂取を勧めています*4。ただし、果物ジュースや糖質を多く含む果物を摂りすぎると中性脂肪値が上がる可能性もあるので、注意が必要。健康によくても、食べ過ぎると逆効果になってしまいます。

適度な果物摂取は糖尿病対策にも!

高血圧や動脈硬化と並んで患者数の多い糖尿病。甘い果物は糖尿病の原因になると思われがちですが、実は果物の摂取と糖尿病の発症リスクには関連性がないことが研究で明らかになっています*5。それどころか、糖尿病の発症リスクがもっとも低いのは果物を1日2つ(約200g)食べる人だという研究報告もあります*6。果物と並んで糖質を含む食品の代表である穀類でも同様の研究結果が報告されており、全粒穀物を多く摂取する人のほうが糖尿病の発症リスクが低いことが分かっています*7。果物や穀類には糖質だけでなく食物繊維が含まれているので、血糖値が気になる人でも適度な摂取がおすすめです。

では、健康のために果物を食べるなら、どのくらいを目安にすればいいのでしょう? 厚生労働省・農林水産省の『食事バランスガイド』では、1日の果物摂取量の目安を2つ(1つ=およそ100g)としています。毎日200g摂るのは難しいという場合は、お菓子やジュースの代わりに果物を食べるようにすることからはじめてみてはいかがでしょうか。果物を気軽に食生活に取り入れて、より健やかな毎日を目指しましょう。

厚生労働省・農林水産省『食事バランスガイド』

*厚生労働省・農林水産省『食事バランスガイド』

*1 厚生労働省:平成29年国民健康・栄養調査報告,2018.
*2 Borgi L, et al.: Hypertension 2016; 67: 288-293.
*3 Aune D et al.: Int J Epidemiol 2017; 46: 1029-1056.
*4 日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版,2017.
*5 Kurotani K, et al.: Br J Nutr 2013; 109: 709-717.
*6 Wu Y, et al.: Nutr Metab Cardiovasc 2015; 25: 140-147.
*7 Kyrø C, et al.: J Nutr 2018; 148: 1434-1444.