ホーム食べるからだメンテナンス/DHA・EPAが体脂肪を減らすという新事実

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食べるからだメンテナンス

DHA・EPAが体脂肪を減らすという新事実


イワシやサバなどの青魚に豊富に含まれている魚油のEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、どちらも人の体内ではほとんど作ることができない必須脂肪酸の一種。EPAの持つ「血液をサラサラにする」「中性脂肪値を下げる」といった健康効果や、DHAが人間の脳や神経系にたくさん存在することから「魚を食べると頭が良くなる」とも言われ、注目されています。この2つの脂肪酸に、さらにうれしいメカニズムがあることが、京都大学を中心とした研究チームによって2015年に解明されました。それが「体脂肪の燃焼」です。

脂肪を燃やす「ベージュ細胞」とは?

人の体には「白色脂肪組織(WAT)」と「褐色脂肪組織(BAT)」が存在します。WATは脂肪を貯め込み、BATは脂肪を分解して熱を産生することで体温の保持や全身のエネルギーを調整します。そして、成人にはWATが褐色化した「褐色様白色脂肪細胞(ベージュ細胞)」があり、いわゆる中年太りは主にこのベージュ細胞が減ったり、働きが悪くなったりすることで起こると考えられています。つまり、ベージュ細胞が増えたり活性化したりすれば、中年太りを防ぎ、生活習慣病の予防にもつながるのです。

マウスによる実験で明らかな効果が

京都大学チームが行った実験*では、まず、マウスを2グループに分け、一方には高脂肪食を、もう一方には高脂肪食に魚油を添加した餌を与えました。10週間後、高脂肪食グループのマウスに比べ、魚油添加グループのマウスは酸素消費量が増え、体重の増加や体脂肪の蓄積が抑えられていました。魚油が脂肪細胞の褐色化を引き起こし、体脂肪の減少や体温の上昇をもたらしていたのです。これはまだマウスでの実験ですが、今後、人への効果が実証されるのが待たれます。

DHAとEPAはひとくくりで語られがちですが、EPAの血中濃度は摂取すれば増え、摂らなければ減ってしまいます。一方DHAは体内に安定して存在しており、摂取による増減は、EPAほどはありません。また魚油にはかならずDHAが入っているので、日ごろの食事ではEPAが多い魚を積極的に摂るのがおすすめです。

●EPAを多く含む魚
マイワシ、本マグロ、サバ、マダイ、ブリ、サンマ
●DHAを多く含む魚
本マグロ、ブリ、サンマ、サバ、サケ、アジ、カツオ

*参考:Sci Rep ; 5: 18013, 2015