内側から整える食生活のすすめ
食べるからだメンテナンス
アメリカで専門家に選ばれたダイエット法「DASHダイエット」

アメリカでは毎年、栄養士や医師などの専門家が選んだダイエット法(食事療法)のランキングが発表されます。その中で、2018年まで8年連続で総合第1位を獲得しているのが「DASH(ダッシュ)ダイエット」。どんなダイエットかご存知ですか?
DASHとは、「高血圧を予防するための食事療法」のこと
DASHダイエットという名前を見ると、「短距離を全力疾走して行うダイエット?」などと思ってしまいますが、実は「Dietary Approaches to Stop Hypertension」の頭文字をとったもので、「高血圧を予防するための食事療法」のこと。アメリカで高血圧の予防・治療のために考案されました。動物性の脂・塩・砂糖などを控え、果物・野菜・全粒穀物・ナッツなどを十分に摂ることを奨励しています。最近では、血圧を下げるだけではなく、痛風や糖尿病、脂質異常などにも効果的なことがわかってきています。また、余分な体重も落とせることから、減量法としても評価されているのです。
食物繊維やカリウム、マグネシウムなどを十分に摂取
具体的には、どのような食事療法なのでしょうか? 自分の年齢と性別、活動レベルから1日に必要な摂取カロリーを調べ、それに合わせて「穀類」「野菜」「果物」「低脂肪乳、低脂肪の乳製品」「赤身の肉、鶏肉、魚」「ナッツ、種、豆類」「脂肪」「お菓子、砂糖」の8つに分けられたグループの食品を、それぞれ決められた割合で食べていくというもの。たとえば、1日2000kcalが必要な人なら、主食は全粒穀物で7~8単位(1単位は全粒粉の食パン1枚、玄米ごはん0.5カップなど)、「野菜」は4~5単位(1単位は刻んだ生野菜0.5カップなど)というように決まっています。また、塩分や糖分、脂肪分は減らし、フルーツや野菜は毎日食べる、動物性たんぱく質は鶏肉や魚をメインになどといった奨励事項が決められています。この食事法を実践すると、血圧を抑制するために有効だといわれている食物繊維やカリウム、カルシウム、マグネシウムなどの摂取が増え、さらに血管を強くするための良質なたんぱく質も摂ることができるのです。特別な調理法はなく、設定カロリーが厳しいようなら徐々に近づけることをすすめています。決してハードなダイエットではありませんが、忙しい毎日のなかで実行していくのは難しいかもしれません。まずは、DASHダイエットの基本となる「十分に摂取したい栄養成分」と「減らしたい栄養成分」を意識した食生活に改善するところからはじめてみるのはいかがですか。
■十分に摂取したい栄養成分
食物繊維 腸内にある過剰なナトリウムを包み、排泄を促し血圧の上昇を抑制 | 大麦、オクラ、山いも、海藻類、こんにゃく、りんごなど |
---|---|
カリウム 塩分(ナトリウム)の排泄を促進して血圧抑制 | いも類、かぼちゃ、ほうれん草、バナナ、柿、すいかなど |
カルシウム カリウムやマグネシウム、食物繊維とともに摂取すると相乗効果によって血圧を降下 | 牛乳、ヨーグルト、菜の花、小松菜、大根の葉、ごま、小魚、豆腐など |
マグネシウム カルシウムと協力して円滑に血圧を調整 | アーモンド、カシューナッツ、ごま、大豆、ひじき、わかめ、玄米など |
たんぱく質 血管の老化を防いで、弾力のある健康的な血管をつくる | 鶏肉や赤身の肉、魚介類(いか、たこ、かきなど)、大豆製品、牛乳など |
■減らしたいもの
飽和脂肪酸・コレステロール | 脂身のついた肉、レバー、高脂肪牛乳、パターなど |
---|---|
塩分・糖分 | 塩や砂糖など |