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地球環境の改善に大麦ストロー?!


紀元前3000年頃に世界最古の都市国家を築いた古代メソポタミア文明。その担い手であるシュメール人の陶板に、葦(あし)のストローを使ってビールを飲む人々の様子が描かれています。当時のビールは不純物が多く、それをよけて飲むために使われたようです。

現在の「ストロー」という呼び名は、英語の「straw」=わらが語源です。アメリカでは長い間、ライ麦の茎がストローとして利用されていました。1888年にアメリカの発明家、マービン・ストーンが、ライ麦の茎でカクテルを飲んでいたところ、茎が壊れてしまったことから紙製のストローを思いついて、製品化したのがストローの始まりといわれています。

日本のストローの始まりは「麦稈(ばっかん)」

日本でも、昔から農家の人々は麦穂を摘み取った茎=麦稈を使って飲みものを飲んでいました。日本におけるストロー発祥の地は、岡山県南西部の寄島町(現・浅口市)という説が有力。寄島町史によると、1901年頃、大麦の一種であるはだか麦が原料の麦稈真田(真田紐のように編んだ麦わら)を用いた麦稈帽子(麦わら帽子)の生産が始まり、同時期に、川崎三一により、麦稈を原料としたストローが作られるようになったとされています。

やがて米の裏作だった麦の栽培が減産されるにつれ、原料の麦稈も減少。品質も安定しないため、安価で大量生産できるプラスチックのストローが主流となっていきました。

大麦で地球にやさしい新しいストローを

世界的に「SDGs」(持続可能な開発目標)が叫ばれる昨今では、プラスチックごみによる海洋生物への深刻な被害を減らすため、プラスチック製ストローの使用をやめる企業が増えています。例えばアメリカでは、マクドナルドやスターバックスなどが、日本でも大手外食チェーンが段階的な廃止を決めました。

プラスチックに替わる新たな原料として注目を浴びているのが、大麦です。六条大麦の生産量日本一である福井県では、大麦を使用した食品の製造販売を手がける「福井大麦倶楽部」で、ノベルティ用の大麦ストローを2019年7月より消費者向けに販売。東京の「檜原村新農業組合」でも、遊休農地で麦のストローを作るプロジェクトを立ち上げ、完成したストローを飲食店で販売して話題となっています。明治時代に生まれた大麦のストローが、ひそかに復活の兆しを見せています。大麦ストローを使って地球環境の改善に目を向けてみませんか?

参考:
「近代日本における麦稈真田業の展開」 岡山大学経済学会雑誌49(3)
「広報あさくち 令和元年10月号」 浅口市