ホーム大麦百科/1インチは大麦3粒の長さ!?

1インチは大麦3粒の長さ!?


麦1粒が長さの単位となっていた

パソコンやテレビの画面の大きさ、ジーパンのサイズなどを現す単位としてお馴染みの「インチ(inch)」。イギリスではこの1インチ(25.4mm)を、「麦3粒の長さ」に決めたという言い伝えがあります。昔から単位は体のサイズを元に決められることがありました。たとえば、「インチ」は親指の幅、「フィート」は足のつま先からかかとまでのサイズが元になっています。ちなみに、親指の幅は「サム」といわれていましたが、のちに1サムは12分の1フィートと規定したことから、オリエント地方の「1/12」という意味の「インチ」になったようです。一方、イギリスでは、アングロ・サクソン時代(411~1065年)に長さを表す単位として「バーリーコーン(barleycorn)」を使っていました。これは大麦の1粒の長さのことで、1バーリーコーンは約8.47mmでした。そして、1324年にエドワード2世がインチの定義を制定したときに、「1インチ=3バーリーコーン」としました。

バーリーコーンの名残が今でもある靴のサイズ

イギリスやアイルランドでは、現在でも靴のサイズにこのバーリーコーンの名残があります。基準になっているのは子ども靴の現実的な最小のサイズ「0」(12バーリーコーン=4インチ=10.16cm)で、そこから1バーリーコーン間隔でワンサイズずつ上がっていきます。子ども靴の最大は「13」(25バーリーコーン=8インチ=約21.18cm)、そのひとつ上のサイズを大人の靴の「1」としました。実際にはハーフサイズを設けているので、0.5バーリーコーン(1/6インチ=約4.2cm)ずつ大きくなり、サイズも「1⁄2」表示が出てきます。この方式にならうと、イギリスサイズの「5」は、おおよそ30バーリーコーン、つまり麦を30粒ほど並べた長さで、日本サイズならば25.5cmあたりに相当することになります。もっとも、現在基準となるサイズをキッチリ12バーリーコーンにしているメーカーはあまりないようですが、サイズの考え方は現在も引き継がれています。