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豆乳だけじゃない!いま注目の植物性ミルク


コンビニやスーパーマーケット、コーヒーショップなどで目にすることの増えてきた植物性ミルク。日本人にとって最も身近な植物性ミルクは豆乳ですが、最近ではアーモンドミルクやオーツミルクなど、選べる種類が増えつつあります。今回は、それぞれの植物性ミルクの栄養や健康効果について紹介します。

そもそも、植物性ミルクとは?

植物性ミルクは、豆やナッツなどの植物原料を細かく砕き、成分を水で抽出して作られる飲み物です*1。色や質感は牛乳に近く、牛乳に含まれる乳糖の消化不良が原因で腹痛や下痢などの症状が起こる乳糖不耐症や牛乳アレルギーなどで悩む人にとっては、牛乳の代替品となっています。

近年は、健康志向の高まりやビーガンなどのライフスタイルの変化を背景に、世界中で植物性ミルクの消費量が急増しており、世界市場は200億ドルを超えると予想されています。

日本では豆乳やアーモンドミルクが広く流通していますが、世界にはほかにも様々な植物性ミルクが存在します。原料の種類によって分類すると、次の5つに分けられます*2。

(1)穀類ベース:オーツミルク、ライスミルク、コーンミルクなど
(2)マメ科植物ベース:豆乳、ピーナッツミルクなど
(3)ナッツベース:アーモンドミルク、ココナッツミルクなど
(4)種子ベース:ごまミルク、ひまわりミルクなど
(5)擬穀類ベース:キヌアミルク、アマランサスミルクなど

植物性ミルクの栄養と健康効果

植物性ミルクは原料の違いによって、風味はもちろん栄養の特性が異なります。ここでは、豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクの栄養と健康上のメリットについて紹介します。

豆乳

豆乳は植物性ミルクの中でも特にたんぱく質の含有量が高く、栄養バランスに優れています*3。大豆たんぱく質には血液中のコレステロールを低下させる作用があることが知られており*4、コレステロールが高めの人におすすめの植物性ミルクです。日本で行われた大規模な調査研究によると、女性ではイソフラボンの摂取量が多いほど脳梗塞や心筋梗塞、乳がんのリスクが低いことが明らかになっています*5,6。イソフラボンを効率よく摂取できる豆乳は、女性の健康の味方と言えます。

アーモンドミルク

アーモンドミルクは、抗酸化作用のあるビタミンEが豊富な植物性ミルクです。マグネシウムやカリウム、亜鉛などのミネラルもバランスよく含まれています*3。アーモンドミルクは穀類や豆類を原料とする植物性ミルクよりも脂質の割合が高いという特性がありますが、脂質の大部分は健康に有用なオレイン酸です。また、アーモンドには腸内の有用菌を増やす作用があると報告されており*7、アーモンドミルクはおなかの健康維持にも役立つ可能性があります。

オーツミルク

原料となるオーツ麦は、オートミールやグラノーラなどに加工して食される穀物です。オーツミルクにはβ-グルカンという食物繊維が含まれています。β-グルカンは水分を吸収すると粘度が高まり、胃の内容物が腸に移動する時間を遅くする性質があるため、オーツミルクには食後の血糖値の上昇を穏やかにしたり、血中のコレステロールを低下させたりする可能性があります*2。

からだにも環境にも優しい植物性ミルク

その風味や栄養価だけでなく、牛乳と比べて製造過程での環境負荷が少ない点も評価されている植物性ミルク。最近米国の市場に登場した大麦ミルクは、ビールの製造に使われた大麦を再利用して作られており、サステナビリティ(持続可能性)に配慮した食品として注目されています。

日本でも市販される種類が増え、植物性ミルクは今後ますます身近になっていくと期待されます。そのまま飲むのはもちろん、シリアルにかけたり、コーヒーに加えたりと、アレンジは自由自在。様々な栄養素を含んでいるので、飲むだけで手軽に栄養バランスを改善できます。砂糖や甘味料が添加されている製品もあるため、選ぶ際には成分表を確認するようにしましょう。

*1 Tangyu M, et al.: Appl Microbiol Biotechnol 2019; 103: 9263–9275.
*2 Sethi S, et al.: J Food Sci Technol 2016; 53: 3408–3423.
*3 Vanga SK, et al.: J Food Sci Technol 2018; 55: 10–20.
*4 菅野道廣ら: 日本醸造協会誌 2004; 99: 148-155.
*5 Kokubo Y, et al.: Circulation 2007; 116: 2553-2562.
*6 Yamamoto S, et al.: J Natl Cancer Inst 2003; 95: 906-913.
*7 Mandalari G, et al.: Appl Environ Microbiol 2008; 74: 4264–4270.