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大麦が原料の蒸溜酒「ウイスキー」と「麦焼酎」の違いとは?


ウイスキーのような琥珀色が禁止されている焼酎

ウイスキーと麦焼酎、どちらも大麦を主な原料とした蒸溜酒ですが、いったいどのような違いがあるのでしょうか。製造工程は両者ともよく似ていて、どちらも大麦など原料となる穀類を糖化・発酵させた後、蒸溜、熟成させます。

この工程の中で、ウイスキーと焼酎とに分かれるポイントのひとつが熟成方法です。ウイスキーの場合は、木の樽で貯蔵熟成することが定義されています。熟成前のウイスキーは無色透明ですが、木の樽で熟成している間に、タンニンやバニリンなどさまざまな成分が樽から溶け出て、独特な深い風味と、美しい琥珀色へと変身していくのです。一方、焼酎は色の濃さを「ウイスキーやブランデーの5分の1から10分の1以下の値にしなければならない」という規定があります。ほんのり色づくくらいならセーフですが、ウイスキーのような琥珀色になると焼酎として販売することはできません。そのため、一般的には木製樽ではなく、ステンレスやホーローのタンク、あるいは甕(かめ)などで熟成させています。

ウイスキーの「麦芽」、焼酎の「麹」が味わいの決め手

もうひとつ、ウイスキーと麦焼酎の大きな違いが、大麦のでんぷんを糖化させる方法です。ウイスキーは「麦芽」の酵素を使うのに対し、焼酎は「麹」の酵素を使います。麦芽は字のごとく、麦を発芽させたもの。もともと大麦が持っている酵素を、発芽によって活性化させます。一方、焼酎はウイスキーと区別するために、酒税法で発芽した穀類を使ってはいけないと定められていて、焼酎では麹を使用しています。この「麦芽」と「麹」の違いが、ウイスキーと焼酎の味にも大きく作用しているのです。