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「麦みそ」で料理の幅を広げる


「みそ」とひとことで言っても、その種類はさまざま。甘みそ、甘口みそ、辛口みそなど「味」によるものや、赤みそ、淡白みそ、白みそなど「色」によるもの。そして、米麹、麦麹、豆麹という「麹」による分類もあります、大豆、麹、塩、種水を混ぜ発酵熟成させてみそを作る際、麦麹を使ったものが「麦みそ」です。

麦みそは、原料である大麦の生産量が多い中国・四国・九州地方を中心に生産されています。この地方では、稲作の裏作として大麦を育てていたことから、農家の自家用に麦みそが作られていました。そのため「田舎みそ」と呼ばれることもあります。みそ全体の約80%を占めるのは米麹で作る米みそですが、約5%に過ぎないながら、麦みそには根強い人気があります。

米みそにはない麦特有の風味が魅力

人気の理由は、風味豊かな麦の香りと甘み。麦に含まれるでんぷんは麹によって糖化するので、米みそに比べ麹の量が多い麦みそは甘みが強くなります。また、熟成期間の違いも甘みに関係しています。発酵に重要な役割を果たす酵母菌は糖分をエサにするため、長く熟成させるほど甘みが抑えられます。だから熟成期間が短めの麦みそは甘口になるというわけです。九州や四国の家庭では、伝統的に甘い味付けが好まれており、この地方で麦みそが定着したのは自然なことだったのでしょう。

麦みそは使い慣れないという人が多いかと思いますが、やさしい甘みは野菜によく合います。そのまま野菜スティックのディップにしたり、根菜の煮物や豚汁にしたり。また、たんぱく質を分解する酵素を含む麹の割合が高いため、みそ漬けにしておけば肉が柔らかくなる効果もあります。鹿児島のさつま汁や福岡のもつ鍋、大分のだご汁、宮崎の冷汁、伊予さつまなど、麦みそ発祥の地の郷土料理に挑戦してみると、麦みその風味をより楽しむことができます。いつもの料理に味の変化がほしいときに、麦みそを取り入れてみてはいかがでしょうか。