石原選手引退に思う

 ヴァンフォーレ甲府・石原選手が引退を表明した。私どもはくばくが2001年からスポンサーとなってから石原選手はほぼ同じ時期に共に喜びも悔しさも味わってきた同志のような気がしている。石原選手は本当にヴァンフォーレを象徴する選手だったと改めて思う。いつの頃からかミスターヴァンフォーレと言われたが山梨県出身であることを差し引いても、ひたむきなプレーはその称号にふさわしい選手だったと心から思っている。

 さてここで思うことが二つある。一つは現在の残留争いに関わることだ。このところの3試合で2勝1分け。しかも上位のチームからの勝ち点7は想定以上の出来だったともいえる。しかしだからこそ敢えて言いたいのは、緩んではいけない、勝負は正にこれから!という事。2014年のシーズン、J1残留を確定させた翌日の当社の広告に、「絶対に降格させない!」というシーズン中の石原選手の言葉と写真を使わせてもらった。石原選手の強い残留への気持ちがチームを導いたと感じたからだ。その精神的支柱が引退を表明した、というタイミングは危ういと感じる。ましてチームは好調だ。だからこそ「緩むな」と言いたい。残り5試合、死闘が待っている。あの石原選手と同じように、いやそれ以上に「絶対に降格させない!」と言う強い気持ちを全員が持って戦ってもらいたいのだ。

 そしてもう一つはこの先のチームについて考えることがある。石原選手のようにJ2のどん底から這い上がりJ1昇格を経験し、そこから2度の降格と昇格を味わった選手が残りほぼ山本英臣選手しかいなくなっってしまった。私はこのタイミングでヴァンフォーレ甲府の価値観と言うものをぜひ作ってもらいたいと願っている。鹿島アントラーズにはジーコが残していった「献身、誠実、尊敬」という価値観が浸透していると聞く。こういった価値観を大事にしているからこそ鹿島はJ1の中で7度も優勝し、予算規模から言っても毎年非常に好成績を残している素晴らしいチームなのだと考える。

 翻ってヴァンフォーレ甲府にも絶対に大事にしてきた価値観があると思う。その象徴が石原選手であり山本選手であろう。彼らが試合、練習、日頃の生活で体現してきた態度、考え方を整理して「ヴァンフォーレらしさ」としてきっちり言葉にすべきだと考えている。例えば「ひたむきさ」であったり「誠実さ」であったり「真摯さ」であったり、「最後まであきらめない」であったり・・・。それはこれからのチーム運営にとって非常に重要なことなので、チーム関係者がじっくり話し合ってぜひ魂を込めて決めてほしい。そしてそれを若い選手たちも肚から理解して、その価値観を実践、磨きあげて行ってほしいのだ。

 さあ、残り5試合となった。泣いても笑ってもこの5試合。この甲府の為に17年間ひたむきにプレーしてくれた石原選手に報いるためにも絶対に降格はできない。これまで必死に蓄積した力を解き放ってJ1残留を決めて、石原選手に送ろうではないか。心からの「ありがとう」を笑顔で言うために。

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プロフィール

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株式会社はくばく
代表取締役社長
長澤重俊

1966年ひのえうま生まれ。
東京大学ラグビー部卒。(本当は経済学部)
住友商事を経て1992年はくばく入社。
趣味はゴルフとワインかな?
今年、ヴァンフォーレ甲府が大活躍することを心から期待しています。